ビンスがこだわった“湾岸戦争”のパロディ――フミ斎藤のプロレス講座別冊 WWEヒストリー第107回
ビンス・マクマホンがハルク・ホーガンの後継者に指名したアルティメット・ウォリアーは、“レッスルマニア6”における感動の新チャンピオン誕生シーンからわずか9カ月でWWE世界ヘビー級王座から転落した。
ウォリアーが“イラク軍曹”サージャント・スローターにまさかのフォール負けを喫するシーンは、“ロイヤルランブル91”(1991年1月19日=フロリダ州マイアミ、マイアミ・アリーナ)の第3試合という奇妙なポジションにレイアウトされていた。
タイトルマッチには“マッチョキング”ランディ・サベージとそのマネジャー、シェリー・マーテルが乱入。サベージがリング下からウォリアーに凶器攻撃を加え、スローターがあっさりと3カウントのフォールを奪った。試合終了後、ウォリアーはスローターではなくサベージを追いかけまわした。ウォリアーとサベージの乱闘シーンは、このふたりの新たなる因縁ドラマのプロローグになっていた。
観客がいささか唐突な王座移動シーンとその意味を“消化”するまえに、リング上では第4試合のザ・マウンティ(ジャック・ルージョー)対ココ・B・ウェアのシングルマッチがはじまった。第5試合では“ミリオンダラー・マン”テッド・デビアス&バージルがダスティ&ダスティンのローデス親子を下した。“アメリカン・ドリーム”ローデスは、この試合を最後に約2年間在籍したWWEを退団。“執事”バージルがデビアスを裏切るというオマケも用意されていた。
メインイベントにラインナップされた30選手出場・時間差式変則バトル“ロイヤルランブル”は、ホーガンがアースクェイクとブライアン・ノッブスをオーバー・ザ・トップロープで場外に投げ捨てて優勝。“主人公”ホーガンがリング上で星条旗を振るシーンがPPVのエンディングだった。
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