“ステロイド裁判”にパイパーらが出廷――フミ斎藤のプロレス講座別冊 WWEヒストリー第111回
パイパーは、ステロイドの使用を認めたうえで「ステロイドの効用は大きい。私は私よりも体の大きな相手と闘うためにデカドゥラボリン(薬名)を使った。薬の効果を疑問視する医師もいるが、それはウソだ。力は強くなるし、ケガも早く治る。それが違法行為だという認識はなかった」と証言した。
閉廷後、マスメディアの“ぶら下がり取材”に応じたB・グラハムは「プロレス界のステロイド汚染をなんとかしなければならない」と発言し、ザホリアン被告が法廷で「ステロイドを売った」と証言した“渦中の人”ハルク・ホーガンについては「彼はすばらしい人格者であり、私の親友。場所と機会が与えられれば、彼は真実を話すだろう」とコメントした。
ザホリアン被告に有罪判決が下ったことで、“ステロイド疑惑”とその議論の場は法廷からマスメディアへと移った。
判決の翌日、WWEはマスコミ向けにプレス・リリースを配信。「当社は“ステロイド裁判”に利用された。当該の裁判の被告は、ジョージ・ザホリアン元ペンシルベニア州体育協会指定医師であり、当社や当社所属のタレントではない。当社は契約タレントに対し、厳正なドーピング検査を実施しています」という声明文を発表した。
しかし、このプレス・リリースは、火に油を注ぐ結果を招いた。ザホリアン被告の弁護を担当したW・コストポラウス弁護士は『ニューヨーク・タイムス』紙のインタビューで「ステロイドの常用は、裁判に出廷した4人のレスラーに限定された問題ではない」と発言。“ステロイド疑惑”が「会社ぐるみの汚染」であることを示唆した。
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