ビンスとフレアーの密室ネゴシエーション――フミ斎藤のプロレス講座別冊 WWEヒストリー第113回
ビンス・マクマホンとリック・フレアーの“密室のネゴシエーション”がはじまった。
ふたりが最初に顔を合わせたミーティングの場所は、コネティカット州スタンフォードのビンスの自宅だった。ノースカロライナ州シャーロットからニューヨークにやって来たフレアーは、ラガーディア空港でリムジンの出迎えを受け、そのまま約1時間、車内でカクテルを飲みながらフリーウェイを移動。
ビンスのお屋敷のゲスト用ダイニングルームでは、お抱えのシェフが昼食の準備をしていた。それは、1990年代前半、ニューヨークのビジネスマンのあいだで流行した“パワー・ランチ”と呼ばれるおもてなしの方法だった。ビンスとフレアーはいっしょに食事をしながら、おたがいに率直な意見を交換した。
WWEとの契約をまえに、フレアーはビンスにいくつかの条件を提示した。それは“リック・フレアー”以外のリングネームを使うつもりはないこと、“リック・フレアー”のキャラクター設定にはいっさい手を加えないこと、WWEは“リック・フレアー”にメインイベンターとしてのポジションを確約すること、契約書のなかに“途中解約”の権利を盛り込むこと、の4点だった。
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