ビンスがホーガンの“引退ドラマ”を演出――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第122回
マスメディアによる“WWEバッシング”のターゲットは、どうやらハルク・ホーガンだった。ペンシルベニア州在住の外科医、ジョージ・ザホリアン被告がステロイドの違法販売と流通で有罪判決を受けたのは1991年6月。検察側が証拠として提出したザホリアン被告の“顧客名簿”にはホーガンとビンス・マクマホンの名がリストアップされていた。
テレビの人気トーク番組“アーセニオ・ホール・ショー”にゲスト出演したホーガンは、アナボリック・ステロイド(筋肉増強剤)の使用について「ケガの治療のため3回だけ投与した。それ以外の目的で使ったことはいちどもない。体が大きいのは生まれつき」とコメントし、ザホリアン被告とのコネクションをきっぱりと否定した(1991年7月16日)。
ホーガンの“証言”はさらなる論議を呼んだ。ニューヨークのスーパースターとしてはホーガンの先輩にあたるブルーノ・サンマルチノと“スーパースター”ビリー・グラハムはテレビ、新聞、雑誌の取材に対して「ホーガンはウソをついている。WWE所属選手の90パーセントはステロイドを常用している」と発言した。グラハムの「私とホーガンは注射針をシェアした」というショッキングなコメントがタブロイド紙のフロントページを飾った。
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