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群馬高専の寮生が2年間で3人死亡…学校長の対応に疑問の声【寮生連続不審死事件】

 真相は薮の中である。群馬工業高等専門学校(群馬高専)で14年1月から16年1月にかけて3人の男子学生が亡くなった。一方、その前年度においては、同校教授による生徒への罵倒や人格否定、脅迫を伴ったアカハラにより学生や教官の間に多数の被害者が出た。こうした一連の事件について、学校側からの説明や報告などの経緯を示す記録の開示を求めたが、一切拒否されたまま現在にいたっている。そのため、「市民オンブズマン群馬」(小川賢代表)が8日、西尾典眞校長に対して3度目の公開質問状を提出した。その学校長の対応に、ネットでは疑問の声が広がっている。
群馬工業高等専門学校

群馬工業高等専門学校の公式サイトより

 関係者への聞き取りや質問状によると、およそ1年以上にわたる期間内に、電子情報工学科に所属する寮生の連続怪死事件が2件発生。15年6月には寮を出たまま行方不明となった男子学生が1か月後に利根川河川敷近くで遺体で発見され、16年1月には、高崎市内の山中で男子学生が死亡しているのが見つかったという。さらに最近になり、14年1月にも物質工学科所属の学生が寮の自室で自死するという事件が発覚。亡くなったのは、いずれも当時4年生の学生だった。  市民オンブズマン群馬によると、「2012年3月29日の、教育研究支援センターの技術職員によるアカハラ事件については、きちんと事実関係を公表し、再発防止策を誓う声明を発表していたが、今回のアカハラ事件や寮生連続不審死事件については、まったく沈黙したまま。この原因としては、学校長が交代したことによる内部体質が変化したのが一つの要因」と考えられている。  市民オンブズマン群馬は7月8日、学内に質問状を掲示し「150人にも満たない寮生の中から、原因不明の死者が3名も出ることは明らかに異常であり、さらに群馬高専側が『ご遺族の意向』を盾にこの件に関してすべての情報を隠匿し、まともな調査も行っていなかったことが明らか」と表明している。  こうした一連の事件を受け、学校長は「皆さんの年齢を考えれば、このことに関係する、この度の某団体の行動にどう対応するかは基本的に自己責任の問題かとも思います。しかしながら、その一方で、学校として皆さんが後で自らの行動を振り返って後悔するようになったり、進学や就職において不利益をこうむることになったりすることが懸念されるのであれば、そのような事態にならないよう、努める必要があると考えます。よって、あえて、ここに文書掲示を行い、皆さんの良識ある行動をお願いすることとします」と学内の学生に訴えていた。
 この文書からは「もし余計なことを口走れば、進学、就職はさせないぞ」と読み解くこともできることから、ネット上で「学校ぐるみでの恫喝では?」と疑問の声が広がっているというわけだ。  群馬高専側に問い合わせたところ、「事実関係を調べたうえで、今後の対応を検討する」と回答。今後の動きに注目していきたい。 <取材・文/北村篤裕>
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