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中瀬ゆかり氏が振り返る[2011年・迷言ベスト3]

「やっぱり天罰だと思う」「流れでお願いします」など、2011年もいろんな人がいろんな場面でいろんな迷言・珍言を吐きました。というわけで、2011年の迷言大賞を、新潮社の名物編集者・中瀬ゆかり氏に選出していただいた。

◆一国の首相が無知を堂々と公言するのがすごいというか怖い

中瀬ゆかり氏

中瀬ゆかり氏

 こういうのって、同じセリフでも誰が言うかによって違うと思うんですよ。石原都知事なんて何を言っても許されちゃうし、ナベツネさんと同じで“キャラ勝ち”ですよね。鳩山邦夫さんとかも「友人の友人がアルカイダ」発言以来、何を言ってもみんな苦笑するだけ、みたいな。

 その点、「書いたらその社は終わりだから」の松本龍さんは、キャラが不発に終わった感じ。ものすごくひどいことを言ったわけじゃないし、冗談のつもりだったのかもしれないけど、スベったというか。逆にそのセリフをもじった村井知事の「これだけ取材して小さく扱う社は“終わり”だからね」はうまいですよね。

 個人的に「それはないだろ」と思ったのは、国債の格付けが引き下げられたときの菅首相(当時)の「そういうことに疎いので」。まあ、正直といえば正直なんだけど、一国の首相が無知を堂々と公言するのがすごいというか怖いなと。沖縄基地問題で責任を問われている一川防衛相も就任時、「安全保障に関しては素人だが、これが本当のシビリアンコントロール」と言っていた。閣僚だから何でも知ってるわけじゃないのはわかってるけど、そういう人たちに引っ張られて、どこに連れていかれるんだろうという怖さはありますね。

 そういった政治家の言葉について内田樹さんが『呪いの時代』という本で「日本では政治家の言葉は構造的に『軽く』なる。『その場をつくろう』ことが『ほんとうに言うべきことを言う』ことよりも優先するのですから、仕方がない。というか『ほんとうに言いたいこと』がないのだから仕方がない」と書いていて、まさにそのとおりだなと思いました。

 軽いといえば、大相撲の八百長メールの「流れでお願いします」とかも軽いですよね。体はあんなに重いのに(笑)。そんななかで白鵬の「ないということしか言えないじゃないですか」には感動しました。こんな微妙な日本語の言い回しが使いこなせるなんてすごいですよ。

<中瀬氏が選ぶ迷言ベスト3>
1位:「そういうことに疎いので」(菅直人前首相)
2位:「書いたらその社は終わりだから」(松本龍前復興担当相)
3位:「ないということしか言えないじゃないですか」(横綱・白鵬)


【中瀬ゆかり氏】
編集者。『新潮45』編集長、『週刊新潮』部長職編集委員を経て、現在は出版部部長。東京MXテレビ『5時に夢中!』水曜日に出演

― 2011年[迷言・珍言グランプリ]【6】 ―




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