コツはない……が、「後ろの人と仲良くなると便利」と松原氏。 「長時間並んでいると、トイレに行きたくなることも。そんなとき、自分の並び順の確保を後ろの方にお願いできると助かります。飴や飲みものなどをおすそ分けしたり、『暑いですね』といった世間話したり、大体は和みますよ。互いに行列を耐えているわけですから」 　こうしたノウハウを駆使しても、ツラい行列はあるんだとか。 「男性アイドルのコンサートのように女性が圧倒的多数のものなどです。男性が一人で並ぶと正直浮いてしまいます。視線を感じるときは、『俺は妹に頼まれて並んでいるんだ！』と、自分で自分を思いこませてますね（笑）」 　また、代行業者だと周囲にバレないよう配慮が必要な場面も。 「運動会の場所取りなど、学校関係は気を使いますね。『自分の子供のことを業者に任せている』と依頼主の評判に関わることもあるので。依頼者に近い年齢のスタッフが、“お子さんのクラスを聞かれた場合”などの想定問答集を頭に入れて臨んでいます」 　ただ、代わりに並べばいいというわけではないのが行列の代行。 「病気の祖母に思い出の味を食べさせたいと地方の限定銘菓を手に入れてほしいという方もいれば、自宅近くの幼稚園に入れないと仕事が続けられないからと入園願書をもらうための列に並んでほしいというシングルマザーもいます。思わぬ背景を持った依頼者も少なくないんですよ」 　ただの人の列と思いきや、行列にドラマあり、か。 ＜行列のコツ3か条＞ 1．必需品は携帯電話に飲み物、パイプイス 2．後ろの人と仲良くなって助け合い 3．ただ、ひたすら無心であれ！ 【松原周人氏】 お助け本舗広報。全国に220店舗を展開する「便利屋！お助け本舗」にてさまざまな依頼を受ける。行列の並び代行のほか、引っ越しや家電の設置、夏の草刈りなど、日常の困りごとを解決する ― ［夏の大行列スポット］にガチで並んでみた ―