ビンス無罪“ステロイド裁判”エピソード10=コンプライアンス管理部長の証言――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第163回
スケールス氏は「評判の悪い」(スケールス氏自身のコメント)ジョージ・ザホリアン医師をペンシルベニア州ハーシーの試合会場から退去させ、“ルイス&バティースタ”という外科クリニックの医師を新たにライブ興行にアテンドさせた。ザホリアン医師がたびたびスケールス氏に電話をかけてくるようになったのは翌8月からだった。
――ザホリアン医師の発言は?
「今後の試合へのアテンドはほかの医師にお願いしましたと伝えると、彼は『ハーシーはオレの街だ』といいました。わたしは、街はだれのものでもありませんよ、と答えました」
――彼はなんといいました?
「『キミでははなしにならない。もっと上の人と直接話す』と」
――あなたはその直後にパット・パターソンとある会話を交わした。
「『ザホリアン医師をハーシーの試合に雇えば』とパターソン副社長から打診があったので、わたしは、別のドクターと契約ずみですと伝えました。すると、副社長は『彼はボーイズと仲がいいから』と話しました。それからザホリアン医師からわたしのデスクにまた電話があり、彼はわたしに『ボーイズがキャンディーを欲しがっているんだ』といいました」
スケールス氏はその後、巡業エージェントのレネ・グレイから「ハウスショーにドクターがふたりもいた」という連絡を受け、1989年8月以降もザホリアン医師がハーシーでの興行にアテンドしていたことを知った。そこでスケールス氏はこの件の一部始終をリンダ・マクマホンに報告した。
――リンダ・マクマホンの返事は?
「ザホリアン医師は悪いウワサのある医師ですと伝えると、社長(リンダ)は『その件はパット(・パターソン)にまかせて』と答えました」
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