ビンス無罪“ステロイド裁判”エピソード10=コンプライアンス管理部長の証言――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第163回
弁護側のジェリー・マクデビットWWE顧問弁護士による反対尋問がはじまった。
――あなたがザホリアン医師を“評判の悪いドクター”と考えた理由はあくまでも“ウワサ”ですよね。
「はい、“悪いウワサ”です」
――その時点では事実関係は明らかなっていない。“ウワサ”にはステロイドという単語は含まれますか。
「含まれなかった、と思います」
――パターソンがあなたに打診したのは、顔見知りのザホリアン医師をハーシーのハウスショーに雇ってくれ、ということだけだったのでは。
「いいえ、それ以上の“目的”があったと思います」
――“キャンディー”という単語が薬物の暗号だと感じたのはなぜですか。
「ハーシーのキス・チョコではないことだけはたしかだからです」
ローラ・ブリベッティ弁護士からの反対尋問はもっと攻撃的だった。
――ことしの4月の時点で、あなたはこの裁判のことを知っていた。
「ビンス・マクマホン会長が起訴されたのです。裁判はあるでしょう」
――大陪審(4月)をまえにあなたは会社の書類を外部に持ち出した。
「わたしにとっての“保険”です」
コンプライアンスを専門とするスケールス氏が「“保険”が必要だった」と発言したことで、このステロイド販売・流通事件は会社ぐるみの犯罪だった、とする検察サイドのシナリオが現実味を帯びてきた。(つづく)
https://nikkan-spa.jp/inquiry)に! 件名に「フミ斎藤のプロレス講座」と書いたうえで、お送りください。
※この連載は月~金で毎日更新されます
文/斎藤文彦 イラスト/おはつ
※斎藤文彦さんへの質問メールは、こちら(
この連載の前回記事
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ