更新日:2017年11月30日 15:15
スポーツ

ビンス無罪“ステロイド裁判”エピソード10=コンプライアンス管理部長の証言――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第163回

 弁護側のジェリー・マクデビットWWE顧問弁護士による反対尋問がはじまった。 ――あなたがザホリアン医師を“評判の悪いドクター”と考えた理由はあくまでも“ウワサ”ですよね。 「はい、“悪いウワサ”です」 ――その時点では事実関係は明らかなっていない。“ウワサ”にはステロイドという単語は含まれますか。 「含まれなかった、と思います」 ――パターソンがあなたに打診したのは、顔見知りのザホリアン医師をハーシーのハウスショーに雇ってくれ、ということだけだったのでは。 「いいえ、それ以上の“目的”があったと思います」 ――“キャンディー”という単語が薬物の暗号だと感じたのはなぜですか。 「ハーシーのキス・チョコではないことだけはたしかだからです」  ローラ・ブリベッティ弁護士からの反対尋問はもっと攻撃的だった。 ――ことしの4月の時点で、あなたはこの裁判のことを知っていた。 「ビンス・マクマホン会長が起訴されたのです。裁判はあるでしょう」 ――大陪審(4月)をまえにあなたは会社の書類を外部に持ち出した。 「わたしにとっての“保険”です」  コンプライアンスを専門とするスケールス氏が「“保険”が必要だった」と発言したことで、このステロイド販売・流通事件は会社ぐるみの犯罪だった、とする検察サイドのシナリオが現実味を帯びてきた。(つづく)
斎藤文彦

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