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ビンス無罪“ステロイド裁判”エピソード12=オシェー検事の逆襲――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第165回

小切手 検察サイドが立件したのはジョージ・ザホリアン医師からタイタン・スポーツ社、タイタン・スポーツ社からハルク・ホーガンという順番でステロイドの販売・流通がおこなわれたとされる。①1989年4月13日付(以下“4・13事件”)と②1989年10月24日付(以下“10・24事件”)の宅配便に関する2件。オシェー検事は、1988年5月の“ある会話”についてセイジス氏に質問をぶつけた。 ――マクマホンは1988年5月、「わたしとホーガンが使うためのステロイドを買う」と口頭であなたに伝えた。 「はい、それは記憶しています」 ――あなたはその後、ある小切手を用意した。その小切手はタイタン・スポーツ社の社名入りの法人小切手ではなく、ユニオン・トラスト銀行の銀行小切手だった。 「はい、経理上は小口現金として処理し、銀行小切手で決済しました」 ――それは、ステロイドを購入するための“偽装”小切手ですね。 「わかりません。そうかもしれませんが、断言はできません」  オシェー検事は、ユニオン・トラスト銀行がザホリアン医師宛てに発行した1988年6月21日付の650ドルの銀行小切手のコピーを陪審員に見せた。4月の大陪審では、セイジス氏は「経理上、その経費の存在は確認できない。しかし、故意に証拠を隠滅したものではなく、社内のすべての経理記録がマイクロフィルムに変換された時期と重なるため、紛失したものと思われる」と証言した。 ――その後、1989年10月にもあなたか、あるいはあなたの部署のだれかがユニオン・トラスト銀行に530ドルの銀行小切手を発行させた。小切手の宛名はザホリアン医師だった。 「その件はたしか、ビンス会長の秘書だったエミリー・ファインバーグが経理に持ってきたものです」
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反対尋問のなかでセイジス氏に“助け舟”を出す
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