エンタメ

作家・樋口毅宏が引退表明!? 「作家なんて男子一生の仕事じゃない」

――ラッシャー木村の「ある悪役レスラーの肖像」しかり、実在のレスラーをベースにした物語が綴られていますが、いちばん思い入れのある章はどれですか? また、小説『太陽がいっぱい』をより楽しめるために観てほしい試合はありますか? 樋口:これ1本なんて決められないよ。わが子はみんな可愛い。でも、この三編は、この試合を観てほしいな。 ●「ある悪役レスラーの肖像」 (「血も涙もない極悪ヒール」は他団体を渡り歩き“アニキ”と出会う) 樋口:ちょっと探したけど、猪木VSラッシャーってこれしか見つからない。 本当は猪木VSラッシャー、浜口、寺西の1対3とか、猪木VSラッシャーの敗者髪切りマッチがいいんだけどな。 集英社からむかしの新日本の名勝負DVDがいっぱい出てるから、それ買って観て。絶対損しないから。 ●「最強のいちばん長い日」 (かつて「最強」と呼ばれた男は東京ドームの大一番を控える。出会いと別れの青春、転落までの道程を振り返る) 樋口:俺は歴史を書き換えたかったんだよ……。高田とUインター、大好きだったんだから。 ●「平凡」 (独白――札付きの不良がプロレスラーになり、世界中を回って見つけた人生の真理。トンパチ賛歌) 樋口:「モデルは谷津嘉章でしょ?」と言われるんだけど、正直そこまで意識はしてなくて。自分の理想のプロレスラー像を描きたかったんだろうな。 まあいいか。谷津の日本デビュー戦。猪木と組んでハンセン、ブッチャーと戦うヤツ。谷津が半殺しにあうんだよ。楽しいぐらい。これなんかもし谷津がキレてたら、プロレス史が書き換わったのかなあとか思っちゃうよね。 でもこれらよりもね、全然関係なくなるけど、K-1とPRIDEにより離れていたプロレスに俺が回帰することになったきっかけは、オカダカズチカVS棚橋弘至なんだよね。でも新日はいま映像は完全管理しているから、ここで映像配信してるの観て。 俺、新日の回し者じゃないけど。 最近テレ朝チャンネルで、子供の頃食い付くように観ていた、ゴールデンタイムの時代のものを片っ端から観ているけど、むかしの新日より今の新日のほうが体を張ってるよ。色香とかスター然としたものはむかしのほうが上かなと思うけど。 今のプロレスラーも、この頃のように、いい思いをしてほしい。あれだけ頑張っているのだから。
次のページ right-delta
「プロレスは童貞文化」はどういう意味?
1
2
3
太陽がいっぱい

樋口毅宏引退作品――これが最強のプロレス文学です。


タモリ論

読めばあなたの“タモリ観”が一変する、革命的芸人論!

おすすめ記事