突然の事態に「付け焼き刃」で何とかする方法
外国語についてはどうか。
「外国語は一晩では無理ですが、2週間あれば結構いける。私は昔ハンガリーに行ったとき、2週間でマジャール語を話せるようになりましたから」
当時、マジャール語の音を耳からしっかり聞き取ることに注力し、文法は自分で仮説を立てながら習得したことでそれが可能だったと話すが、最も重要な要素はなんのためにその言語を学ぶかという「ゴール設定」だ。
「英会話学校に通うカネがあったら、通訳を雇ったほうが安いでしょう。本当にその言語を使う人とコミュニケーションしたいというモチベーションがないと、仕事のためとか周りがやっているからとかでは、心理的バリアが生じてうまくいきません」
言語習得に限らず、ゴール設定の重要さはすべてにおいて共通している。
「ゴールに合致していない自己イメージは、持ちようがない。例えば選挙に出ている候補者は、これまでどんなに引っ込み思案だった人でもどんどん握手を求めにいきますよね。それは、彼らがゴールに沿った自己イメージを持ったことで心的バリアが払拭されたからです」
ナンパについても同様だ。
「ナンパが成功する人はゴール設定が明確だから1000人、2000人に声を掛けて拒まれても平気なんです。しかし、本来はナンパをする男性は自己評価が低いですから、逆ナンをされるほどにならなければいけないと私は思いますけどね」
いずれにしろ、条件次第では「付け焼き刃」は有効なのだ。
【苫米地英人氏】
認知科学者。’59年、東京都生まれ。上智大学外国語学部卒業、カーネギーメロン大学博士、日本催眠術協会代表理事。『脳の呪縛を解く方法』『思考停止という病』など著書多数
取材・文/永田明輝 中野 龍 豊沢朱門 西谷 格 カシハラ@姉御 和場まさみ アンヨナ 撮影/Dk Ogawa スギゾー 岡崎隆夫
― 人は[付け焼き刃]でどこまでできるのか? ―
1
2
この特集の前回記事
ハッシュタグ