「松茸狩り」は想像以上にサバイバルな現場だった…森の中でしのぎを削るキノコ猟師たち
その後も彼はポイントをいくつか変えて魔法のように松茸を採り、足跡を消して枯れ葉を撒き、時にはワザと木の枝を折って派手に足跡を付けていく。一つ一つの所作、すべてに意味があるのだ。その姿はまさにハンター。
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松茸は合計で6本。その他にもキクラゲやシモフリシメジ、クロカワなどカゴ一杯にして森を出て車に積み込んでいると一台の車がやって来た、すると彼は松茸の入ったカゴをさりげなく車の後部座席に置き、ジャケットを上から掛けた。車は横に止まり男性が窓から顔を出し、「どう? 今日は?」と声を掛けてきたので、彼は笑顔で「今年は厳しいね。クロカワのポイントがあったから今日はクロカワばっかだよ」とシレッとかわした。
「あれは同業者。オレがウソついてんのもバレバレだけど、まぁ、挨拶みたいなもんだよ(苦笑)。それはそうと、あんたらに“お土産”があるんだよ」
そういって彼は林道の横にある木の根元に我々を連れて行き、こんもりと積まれた木の枝を払いのけた。そこには手のひら大に開いた巨大な松茸が生えていたのであった。
「灯台下暗しってヤツだね。ここのポイントは数日前に偶然見つけたんだよ。あんたらが取材で来るっていうから、見つからないように隠しといたんだ。このくらいでっかいと写真映えするでしょ(笑)。ここら辺は林道の邪魔な木の枝が掃かれて積まれているから、それと同じようにごっそり枝を積んどいたんだ。まんまとみんな騙されたね(笑)」
ちなみにここまで大きくカサが開くと、香りも飛んでしまい松茸としての価値はグンと下がってしまうのだとか。さらにこれだけ地上に出てると虫に食われている可能性もあい、虫食いの痕があると数百円にしかならないこともあるという。実際、この巨大松茸も香りはすでにあまりなく、オマケに虫食いだらけ。虫抜きをして食べたが、それはなんとか松茸の味と香りはしたものの、ウットリできるものではなかった。
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