「松茸狩り」は想像以上にサバイバルな現場だった…森の中でしのぎを削るキノコ猟師たち
キノコ狩りの後、彼は最近のキノコ狩りブームについていろいろと話してくれた。
「やっぱりインターネットの普及ってすごいと思うよ。キノコって夕方から夜に雨が降った次の日が最高の狩り日になるんだ。そういう情報とか知識って昔は一部の人しか知らなかったんだけど、今はネットで全部調べられるでしょ。オマケにピンスポットの天気情報もわかるから、この一帯だけ夜雨が降っているとかもわかるワケでしょ。そんな時はすごいよ、前なんか台風来て夜中に直撃したときなんか、直撃する前の晩から台風で閉鎖された林道の入り口に車の列が起きてたもん。そんでもって台風が去った夜中の3時にはもう、大渋滞(苦笑)」
さらにここ数年は変な客も……。
「キノコ狩りのプロだって、どっから聞いたのか知らないけど変な注文してくるヤツもいるね。ベニテングダケが手に入ったら売ってくれって。おい、それ毒キノコじゃねぇかよって。『塩漬けして毒抜きすると旨いんですよ』って……確かにベニテングダケって塩漬けにして毒抜きして食べる地方もあるけど、素人がやっていいわけがない。あと、15年くらい前から山の中に機材持ち込んで勝手にレイブやってた連中いたじゃない。ああいうヤツら『ベニテングダケが生えてるとこ教えてください』って来たことも何度かあるね。まぁ、何に使ったのかはわかんねぇけどさ(笑)」
⇒【写真】はコチラ(ベニテングダケ)https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1216367
過熱気味とも思えるキノコ狩りブームだが、危険と隣り合わせであることも頭に入れて欲しいと彼は言う。
「毒キノコを甘く見てると痛い目に遭うってレベルじゃないわな。本当に死んじゃうこともあるから。オレもそういうキノコ狩りしたキノコの鑑定を頼まれることがたまにあるけど、ドヤ顔して毒キノコ持ち帰ってきたなんてことはよくあることよ。松茸だってカサが開ききって時間が経ったものはアミノ酸が変化して、吐いたり下痢したりすっからさ、ネットの知識だけに頼ってキノコ狩りするのは、危なっかしいったりゃありゃしない。できることなら、プロの人に最後は見てもらった方がいい。そうやって教えてもらって現場で学んだことはネットで得た知識よりも身につくんじゃないかな」
キノコ狩りはマナーと知識を持って楽しんでほしい。キノコ猟師の切なる願いである。
取材・文/SPA!キノコ狩り取材班
ハッシュタグ