ニュース

「松茸狩り」は想像以上にサバイバルな現場だった…森の中でしのぎを削るキノコ猟師たち

 数分後、彼はまた立ち止まり声を押し殺してこう言った。 「しゃがんで後ろを向いて、少し待っててもらってもいいか?」  聞けば松茸の生息地がすぐそばで、確認してくると言うのだ。その現場を見たいと交渉したのだが、「さっきいたキノコ狩りしてるヤツがいるかもしれないから、この場所はちょっとヤメてほしい」と言われてしまった。言われた通り待つこと数分、素晴らしい香りと共に彼は手に一本の松茸を持って来た。 「3日前に確認して、様子見だったけどちょっとカサが開いちゃってるな」  彼によれば、松茸が生える場所を日々巡回して生えているかを確認。確認したらその大きさによって収穫の日を決めるのだという。そして採ったという場所を見せてもらったのだが、その周辺には掘った形跡すらなかった。 「掘り起こした形跡があると、そこが松茸のポイントってバレる。だから掘り返した後は自然な形に戻すのが鉄則なんだ。オレたちは森に入ると毎日歩く場所を変えるんだけど、それは同業者の目をくらますことと同時に同業者の掘り返した痕を探すって意味もある。でも、お互いにバカじゃねぇから、松茸が生えてない全然違う場所をワザと掘り返してポイントをずらすように誘導したりすることもある。足跡が付かないように注意するのは当たり前だけど、逆に足跡をワザと残して違う場所に誘導したりもする。そうやって自分の松茸ポイントを守りながら、新しいポイントを開拓していくんだよ」  そういって彼は歩いてきた足跡が付いた場所やその周辺に枯れ葉を振りかけて次の場所へと向かった。そしていよいよ「写真は撮ってもいいけど、アップの写真だけ。掘り起こす前はNG。撮った写真は確認させること」を条件に松茸を採る瞬間を我々に見せてくれた。 ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1216302  そこは何の変哲もない森の一角。我々は全員しゃがみ込み口を閉じ、周囲に人がいないことを確認した。「ここもポイントの1つなんだ」そういって地面を見つめた。すると数本の小枝をどかすと、おもむろに土の中に指を突っ込み、グイッと持ち上げるとそこには手のひら大の松茸が出てきたのであった。  我々からすると、何の変哲もない地面に他ならない。その場所から魔法のように松茸が出てきたことがまったくもって信じられなかった。何の変哲もない地面を見て、どうやって新しい松茸ポイントを開拓するのか……と聞いてみると、彼はサラリと応えた。 「松茸が生えている場所は独特の盛り上がり方をするんだ。地面に出きっているものは誰でも見つけられるけど、その前の段階で見つけて最適な大きさになるまで待って採るのがプロのワザだよ。毎日歩いてるとさ『ん? あそこの地面はこないだ通ったときとくらべて盛り上がってるな』ってのがわかるんだよ。まぁ、感覚的な話になるんだけど、地面がグッと持ち上がっているっていうかね。あんまり早い幼菌の段階で採ると次の年に生えないこともあるから、そういうものは枯れ葉や苔で隠しておくんだ」  実際にそのポイントも見せてもらった。だが、大袈裟な表現かもしれないがその盛り上がり加減は数字にして1cmもないようにしか見えなかった。それは盛り上がっている云々ではなく、自然な地面の凹凸にしか我々にはどうしても見えなかったのである。
次のページ right-delta
松茸を採る姿は、まさにハンター
1
2
3
4
テキスト アフェリエイト
Cxenseレコメンドウィジェット
Pianoアノニマスアンケート
おすすめ記事
おすすめ記事
Cxense媒体横断誘導枠