レーザー・ラモンとディーゼルが突然WWE退団へ――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第214回(1996年編)
WWEサイドは「プロフェッショナルにあるまじき言動があった」ことを理由に2月19日付でレーザー・ラモンを6週間の出場停止処分としたことを発表。
すでに決定ずみだった3.31“レッスルマニア12”でのレーザー・ラモン対ゴールダストとのストリートファイトはキャンセルとなった。WWEの年間最大イベントである“レッスルマニア”の公式ラインナップに直前になって変更が生じたという事実は、ホールの退団騒ぎがビンスにとっていかに寝耳に水のできごとであったかを証明していた。
ホールのWWE退団―WCW移籍はクリック=派閥の分裂を意味していた。クリックとはショーン・マイケルズ、ディーゼル(ケビン・ナッシュ)、レーザー・ラモン(スコット・ホール)、123キッド(ショーン・ウォルトマン)、ハンター・ハースト・ヘルムスリーの5人の“交渉グループ”である。
ショーンがベビーフェースで、ラモンはヒール・テイストのベビーフェース。キッドとトリプルHはヒールで、ディーゼルだけが連続ドラマのストーリー上、ベビーフェースでもヒールでもないニュートラルな立場ということになっていた。
メンバー5人のポジションとキャラクターはそれぞれ微妙に異なっていたが、ビンスとのネゴシエーションにおいてはいつも5人がひとつの派閥として行動し、バックステージでもリング上でもこれまである一定の政治力を行使してきた。
クリックには属さないメインイベンター・グループの“ヒットマン”ブレット・ハートとアンダーテイカーのふたりは、この“5人組”とはあえて一線を画し、徒党を組んでのアクションを否定する立場をとった。バックステージの人間関係は連続ドラマのそれとひじょうによく似ていた。
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