更新日:2017年08月22日 18:46
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「大麻への偏見が解けてきていたのに…」栽培家逮捕で“産業用大麻”推進論者に困惑広がる

「大麻が違法なんてバカバカしい」との気持ちがあった!?

 上野氏と大麻製品販売を通じて交流があったというA氏は「まだ真相はわからないけど、報道の通り、違法に大麻を吸っていたのだとしたら……」と前置きしてこう語った。 「大麻について詳しいばかりに、もしかしたら本人の中に『こんなものが違法なんて、バカバカしい』との気持ちがあったのかもしれません。  確かに、大麻はアルコールと比べても人体への悪影響や依存性はずっと少ない。覚せい剤などと大麻を一緒くたにしてしまっている現在の状況がおかしいということは、僕も思います。でも法律を変えようというなら、まずしっかり法律を遵守してこそ言えること。どうしても吸いたいなら、米国ワシントン州やコロラド州、オランダ、スペイン、ウルグアイなど、合法化されている土地に行って吸えばいい」

「大成功事例」から一転、関係者にとっては大きな痛手!?

 上野氏に協力し、大麻栽培を町おこしの一環として推進してきた寺谷誠一郎町長は、記者会見で「大麻栽培の支援は二度としない」と語っている。

室町時代から続く伝統的な製法が智頭町で復活。大きな釣り鐘型の桶を上からかぶせ、3時間以上蒸して繊維を取る

 今年7月には京都の国立京都国際会館で国際会議「第一回 世界麻環境フォーラム」が開かれ、大麻の環境的な価値や産業・医療用としての有用性に対して見直す気運が盛り上がっていただけに、今回の逮捕は関係者にとっては大きな痛手となるかもしれない。 「智頭町で栽培されていた大麻は麻薬成分のないもので、オーガニックで質の高い製品として国内外で高い評価を受けていました。さらに、地元の若者からお年寄りまでを巻き込むことによって、地域コミュニティの強化や移住者の増加にもつながっていました。  大麻は布や食料としてだけではなく、プラスティックや燃料、医薬品にも使える植物です。また、日本の伝統文化とも切り離すことはできません。少しずつ大麻への偏見が解けてきたところだったので、本当に残念でしょうがない。これがきっかけで、大麻栽培の復活にブレーキがかかるようなことにならなければいいなと思うのですが……」(谷崎氏) 取材・文/北村土龍 写真/谷崎テトラ
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