108年ぶりのWS制覇!シカゴ・カブスを知るために不可欠な2つのキーワード
偶然にも、2002年にエプスタインがGMに就任した当時、レッドソックスも「呪い」に悩まされていた。1920年にベーブ・ルースをニューヨーク・ヤンキースにトレードしたことをきっかけに、それから86年近くWS制覇から遠ざかる。エプスタインは、レッドソックスを悩ませた「バンビーノの呪い」を、2004年のWS制覇にて解いた張本人である。
しかし、エプステインの人生も全てが順調という訳ではない。「史上最悪の」とまで報道された松坂大輔投手(当時のレートで約60億)との契約や、2011年シーズンの大失速など、非難の的となることもあった。
そうしたことから、2011年にレッドソックスのGMを解任され、ボストンの地を追われた彼が次に向かったのが、シカゴ・カブスだった。カブスではGMより上の役職である球団編成社長に就任。大型トレードで若手有望株を獲得し、ドラフトにて現在の4番であるクリス・ブライアント選手を指名。これらを全てまとめ上げたエプステインの補強は全くのミスなく、わずか5年でチームを優勝へ導いた。
実は、レッドソックスが「バンビーノの呪い」を打ち破った翌年に、こんなジョークが流行っていた。「レッドソックスは86年に一度しか優勝できないから、次の優勝は2004+86で、2090年だ!」と。幸い、レッドソックスは2007年に再びWSを制覇するが、これはカブスも同じ状況かもしれない。
108年ぶりに頂点へ立ったにもかかわらず、また1世紀以上頂点から遠ざかってしまうことは、ファンにとって嘆かわしい「呪い」だ。幸運なことに、前述したクリス・ブライアント選手を筆頭に、カブスには20代前半の選手が多く活躍している。真に「ヤギの呪い」を解くには、中心選手が若いうちに再びWSを制覇することが不可欠である。
取材・文/石橋和也(Far East Division) photo by Arturo Pardavila III via flickr
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