ブレット王座奪回―24時間後に王座転落の怪――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第242回(1997年編)
“ファイナル4・イリミネーション”は4選手が同時にリング内で闘うトルネード式の変則マッチ。オーバー・ザ・トップロープと通常のプロレス・ルールの併用により、試合そのものはかなりゲーム性の高い展開となった。
結果的に生き残りに成功したのは、アンダーテイカーをトップロープごしに場外に落としたブレットだった。ブレット自身は、あくまでもチャンピオンでありつづけることがWWEスーパースターとしてのアイデンティティーととらえていた。
感動のフィナーレのワンシーンをぶち壊したのは“問題児”サイコ・セッドだった。試合終了と同時にリング内に乱入してきたセッドは、キャラクターどおりの高圧的な態度でブレットを挑発。ほんのあいさつがわりに、試合を終えたばかりの新チャンピオンを高角度のパワーボムでキャンバスにたたきつけた。
ブレットはその場でセッドの挑戦を受諾。タイトルマッチは翌日、2.17“マンデーナイト・ロウ”(テネシー州ナッシュビル、ナッシュビル・アリーナ、観衆=5876人、興行収益=8万5416ドル)でおこなわれることが急きょ決定した。
前夜の乱入シーンのつづきとして“ロウ”の生中継ワクにラインナップされたブレット対セッドのWWE世界戦は、またしても第三者の乱入によって王座移動が起きた。
この日はブレットがセッドの巨体を十八番シャープシューターの体勢にとらえると、私服姿のストーンコールドが乱入してきてスチール製のイスでブレットの脳天を殴打して逃走。セッドはすかざすパワーボムを決め、14分12秒のファイトタイムで強引な3カウントを奪った。
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