ポール・ヘイメン インタビューPART2「ECWをつくった男」――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第245回(1997年編)
――しかし、メジャーリーグは年俸制で、ファイトマネーそのものはECWよりもずっといいことも現実です。
「そこだけですよ、メジャーリーグのいいところは。心配しなくても、毎週金曜に小切手が送られてくるんですから。プロレスはエンスージアズムenthusiasm(熱意、情熱、熱狂、強い興味)をぶつけ合うビジネスです。レスラーたちは肉体的・精神的なキャパシティーを超えちゃったところにあるなにかを探していますよ。どうしたら、そんなことができるのか? それをほんとうに欲しているからですよ」
「ECWのボーイズは、バンプひとつがいくら、なんて計算はしていません。みんなを驚かしてやろう。観客が総立ちになるようなすごいものをみせてやろう。ドレッシングルームに帰ってきたら仲間たちが拍手で出迎えてくれるような試合をやってやろう。そういう気持ちでリングに上がっていますよ」
――それがやがてハードコア・ムーブメントと呼ばれるようになった。
「ECWアリーナは『ロッキー・ホラー・ショー』みたいなものなのです。みんながよく知っている登場人物がたくさん出てきて、定番のシングルマッチ、デスマッチなんかがあって、テーブル、イス、フライパン、携帯電話といった小道具が宙を舞ったりする。“ハードコア”ですから、これまでのレスリングにはなかったようなよりハードな場外乱闘であるとか流血であるとか、そういったレベルの変化が要求される。観客が進化していますから、こちらもそれ以上のスピードで進歩・進化をつづけなければならない」
「レスリング・ビジネスはコミュニケーションのビジネスです。観客が理解できない商品をプロデュースしてはいけない。ベースボールのゲームたとえれば、ECWはいまやっと一塁ベースを踏んだところ。ホームランが出るのはこれからなのです」
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文/斎藤文彦 イラスト/おはつ
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