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ビンスが認めたECW――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第246回(1997年編)

 フェアなビジネスとは、ギブ・アンド・テイクの関係、ウィン=ウィンの構造をいうのだろう。ライバル団体WCWとの“月曜TVウォー”で劣勢に立たされていたビンスはECWとの協調路線を模索し、ヘイメンは毎秒250万世帯から300万世帯が視聴しているといわれる“マンデーナイト・ロウ”の全米生中継を、ECWが団体の命運をかけてプロデュースする初めてのPPVイベント4.13“ペアリー・リーガル”の宣伝に使うことを強く希望した。

 WWEとECW、ビンスとヘイメンはあくまでもおたがいの戦略的なモチベーションで握手を交わしたのだった。WWEはトップグループがドイツ・ツアーのためアメリカを留守にする2.24“マンデーナイト・ロウ”マンハッタン大会を“ECWの巻”としてプロデュースすることを検討し、ニューヨーク・ニューヨークにコアな観客層を持つECWもこれに合意した。

 WWEサイドは当初、ECW主力メンバーの番組への“乱入”を提案したとされるが、ヘイメンは「頭のいいファンは突然の“乱入”なんて信じない。それは時代錯誤。われわれのサポーターをがっかりさせ、裏切ること」とこれを拒否。“乱入”ではなくあくまでも“番組ジャック”という形でECWの主力メンバーを“マンデーナイト・ロウ”のTVマッチに登場させた。

 この日、ラインナップされたECWの“提供試合”はトミー・ドリーマー対ディーボン・ダッドリー(サンドマンとババ・レイ・ダッドリーが乱入)、タズ対マイキー・ウィップレック(サブゥーが乱入)、スティービー・リチャーズ対リトル・グイドー(レイヴェンが乱入)の3試合。

 この3試合以外ではジ・イリミネーターズ(ペリー・サタン&クローナス)、bWo(スティービー・リチャーズ&ブルー・ミーニー&スーパー・ノバ)といったECWオリジナルのキャラクターもゲスト出演。ヘイメンがゲスト・コメンテーターとして実況ブースに座り、まったく予備知識のないビンスにECWのなんたるかと各選手のキャラクターをていねいに解説した。

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解説者はECWに対して、ネガティブなコメントを連発

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