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クスリ、酒に頼る!? 寝付けぬ夜のお話【鴻上尚史】

― 週刊SPA!連載「ドン・キホーテのピアス」<文/鴻上尚史> ― 成人男女の4割が睡眠時間6時間以下。寝付けぬ夜のお話 やっと『サバイバーズ・ギルト&シェイム』の幕が開きました。12月4日までやってます。本番中ですから、まだまた気を抜けませんが、まあ、順調に進んでいます。  今回は、一週間、風邪で寝込んだ上に、その後も、完全に回復しないで苦労しました。  いつも僕は、寝る前に「泡盛」のお湯割りを一杯だけ飲みます。習慣になっていて、もう10年以上続けています。  始まりは、深夜、原稿を書いた後、暴走を続ける脳細胞をなんとか静めるためでした。お風呂に入って、さあ寝ようとしても、脳はまだ活動を続けているので、お酒を飲むことにしたのです。  寝酒は睡眠によくないとネットの健康系の文章にはさかんに書かれていますが、もともと、僕はお酒に弱いので、たった一杯の泡盛で気持ちよく寝ていました。睡眠に悪いのは、たくさん飲む人なんだろうと勝手に思っています。飲めば飲むほど目が醒める人、なんていますからね。  もうひとつ、「泡盛」を飲むと、一瞬、沖縄に行ったみたいな素敵な気持ちになる、という理由もあります。なんだか解放されたような気分になるのです。  ところが、今回は、風邪の後、体力が回復せず、一杯の泡盛を飲むと気分が悪くなり、かといって、お酒を飲まないと頭が冴えて眠れない、という状態が続きました。  市販の睡眠導入剤を買って飲みましたが、朝、体がだるく困りました。  と、『サバイバーズ・ギルト&シェイム』に出演している大高洋夫が「俺が持ってる睡眠導入剤、あげようか?」と言ってくれました。撮影で朝5時起き、なんて時のために、かかりつけのお医者さんに処方してもらったやつがあるというのです。 「体は全然、だるくならないよ。気持ちよく6時間ぐらい、ガッと寝られるし」大高は夢のようなことを言うのです。  なので、もらって飲みました。すごいです。起きたら、9時間たってました。一度も目覚めず、9時間も眠り続けたなんて、10年以上なかったと思います。体も全然、だるくならず、じつに快適でした。
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クスリに勝る初日前夜の緊張
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※「ドン・キホーテのピアス」は週刊SPA!にて好評連載中

この世界はあなたが思うよりはるかに広い

本連載をまとめた「ドン・キホーテのピアス」第17巻。鴻上による、この国のゆるやかな、でも確実な変化の記録

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