そもそも“ゆとり教育”によって学力の低下はあったのか?
そもそも“ゆとり教育”によって学力の低下はあったのか。
「実は“ゆとり教育”による学生の学力低下を示す明確なデータはないんです。教壇に立つ教員の中には、“学生の学習不足”を感じる人もいたようですが、彼らは大学進学率がまだまだ低かった世代。なので、約5割が進学する時代の大学生が奇妙に思えたのでしょう」
ゆえにこの問題の本質は、「時代の変化に大学側が対応できたか否か」であると渡辺氏は指摘する。
「好例としては明治大学のようにゆとり世代への対策に積極的だった大学が挙げられます。こういった大学は産学連携(企業と大学が連携して行う事業)プロジェクトなどの新しい取り組みにもいち早く対応し、受験生からの人気も高い。一方、ゆとり世代への対応を怠った大学に限って、画期的な教育改革への関心も薄く、結果的に競争力も落ちつつあります」
とかく“ゆとり”という言葉がやり玉に挙げられがちな昨今。しかしこの問題に関しては、腰が重く変化を拒んだ大学こそが一番の“ゆとり”だったということか。
●結果
影響も含め時代の変化。対応は大学側の責任
【渡辺敦司氏】
教育ジャーナリスト。横浜国立大学教育学部を卒業後、日本教育新聞社に入社。文部省、進路指導・高校改革などの担当記者を経て独立。多数の教育専門メディアで活躍
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