変革を先延ばしにする日本企業の体質があらわに…日本に「国際会計基準」が適用されていない理由
「2000年問題」以降、毎年のように政治、経済、教育とあらゆる分野で、“20XX年問題”が取り沙汰される。しかし、直前にこそ大騒ぎするものの、喉元過ぎれば、そんなことなど忘れてしまうのが世の常。果たして、当時話題になったあの問題は何事もなく沈静化したのか? それともいまだに大問題であり続けているのか? 20XX年問題のその後をしつこく追ってみた!
…EUが国際会計基準を適用/2005年問題
司法書士や税理士でない限り、一般人にはなじみの薄い会計基準。企業が収支決算書を作成する際、それまでは各国が独自基準で作っていたものを、’05年にEUが主体となって国際会計基準(以下IFRS)を適用しようとする動きが起こり、日本も対応を迫られた。
そもそも、なぜ会計基準を統一する必要性があるのか。経済ジャーナリストの磯山友幸氏は、「各国の企業活動がグローバル化するにつれて、株式投資や資金調達、M&Aなどの際に、売り上げや利益の定義が国によってバラバラでは、対等な比較ができず困るようになってきたのです」と説明する。
また、同氏によればIFRSに統一したとしても、日本企業が何か直接損をこうむったり、競争力を失ったりするわけではない。だが、当時の経済界は賛成派と反対派のまっぷたつに割れたという。一体何が問題だったのか。
「バブル崩壊によって多大な損失を抱えていた企業の中には、値下がりした株を海外の子会社やペーパーカンパニーに売却して移し替え、損失を隠しているところもありました。会計基準が透明化されると、そのごまかしが明るみに出てしまうので、IFRSに反対する企業も多かったんです」
会計ルールの変化が日本企業の体質を暴いた!?
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『国際会計基準戦争 完結編』 IFRS受け入れは、日本の「敗北」か?米・欧の覇権争いに背を向け、中国にも後れをとった背景を詳細に描いたノンフィクション |
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