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「子供世代には国籍、障害、マイノリティに関わらない交流を」“激戦区”新宿・森口つかさ候補に密着【都議選直前ルポ】
更新日:2017年10月18日 22:15
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投稿日:2017年06月21日 15:57
「子供世代には国籍、障害、マイノリティに関わらない交流を」“激戦区”新宿・森口つかさ候補に密着【都議選直前ルポ】
河野 嘉誠
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秘書時代に見た小池の素顔
小池の秘書を務めたのち、もともと好きだった洋服関連の仕事をするため、2012年に株式会社モノヅクリを設立。現在は、地域の青年経営者の団体である公益社団法人東京青年会議所(JC)で理事および国際政策室長も務めている。 選挙戦ではJCの組織力に支えられる部分が大きいようだ。この日、緑色のポロシャツを着て、森口とともにビラ配りをしていたボランティアスタッフの男性とも、JCの活動がきっかけで知り合ったという。 「昨年の都議補欠選挙では、7月22日が告示日だったのですが、出馬が決まったのがかなり直前でした。それで、7月17日に青年会議所(JC)の仲間が心配して集まってくれたのですが、2日後には377枚の選挙ポスターを誰が貼るか全て決まっていました。共に社会活動に携わってきたJCのメンバーの応援があるから自分も頑張れています」 過去25年間で1本しか議員提案条例が成立していない都議会を変えていきたい――今回の都議選で、都民ファーストの会の候補者が掲げる共通の課題だが、森口もまたこう口にする。 「選挙で問いかけたいのは、『都議会の役割って何だろう』ということ。それをしっかりと定義したい。『地元まわりや議会で、議員提案条例をつくる暇なんてない。条例づくりは議員の責務ではないのでは』と言われたこともありますが、立法を執行機関である都に任せきりで良いはずがない。都民の目線で、議会が本来の役割を果たしていく必要があります」 他の候補者の選挙ポスターについても、「街中に貼っているポスターも何歳の頃の写真なのか分からなかったり、修正されていたり、政策についてもあれもこれも謳っているが、本当に実行しているのか、都議が何をやっているかもよく分からない」と指摘する。「そういうところも含めて、一般の感覚でいまの都政を変えていきたいです」
「新しい地域のつながり」をつくりたい
また、自らも2歳の娘を持つ父親として、将来を担うべき「責任世代」の一員として、森口は変わりゆく社会に適応した教育のあり方と街づくりの指針が必要だと説く。 「自分のこれまでの人生の反省でもあるのですが、私が受けてきた学校教育のように、右へ倣えで決められたことだけをやっていれば、生き残れる時代ではない。答えって一つじゃないですからね。私の2歳の娘もそうですが、子供たちの世代には、早い段階から国籍や障害やマイノリティなどに関わらず、多様な人との交流をもたせたい。そうすれば、彼らが大人になって、多様な人がそれぞれの強みを活かし活躍できる社会が当たり前になると思います」 兵庫県出身の森口は、1995年の阪神淡路大震災で兄を亡くしている。被災体験があるからこそ、防災対策には「自分ごと」として取り組める。いざとなったときに頼りになる“新しい地域のつながり”を作っていきたいという。 「新宿区にはとても可能性があります。世界一多様な人が集まっているからこそ、多様な人々がそれぞれの強みを活かして、生き生きと暮らせる社会が実現できる。また、地方と違って、親の世代からその子供達まで、この新宿に住み続けることができる。何世代にも渡って、安心安全に住み暮らせる中長期的な視野で街づくりをしていきたい。これまで注目されず一部の限られた価値観で進めてきた都政やコミュニティ作りに、一般の感覚が求められるようになり、多様な人々の意見を取り入れざるを得ない段階に来ている。その過渡期が今回の選挙だと考えています」 街頭活動が終わり、写真撮影をすると森口が力こぶをつくってポーズを決めてくれた。趣味のウエイトトレーニングで日々鍛えているという。洋服やトレーニングなど、好きなことには「トコトン凝るタイプ」だ。 森口自身は新宿にある都民ファーストの会事務局へ行かなければならないというが、「事務所をぜひ見てってください」というので、ボランティアの男性と一緒に、バスで弁天町の事務所に向かった。 事務所はかなり個性的だった。芝生が床に敷きつめられ、その上に木馬が置いてあり、子供の遊び場スペースが設けられいた。支援者の男性は、「本人の趣味だよ」と笑っていた。なんとも凝り性の森口らしい。
激戦区で頭一つ抜け出せるか
新宿区の定数は4議席。これを、自民党現職・秋田一郎(51)、同現職で前述の大門、公明党新人・古城将夫(37)、共産党現職・大山とも子(61)、民進党新人・青地真美(50)、そして、都民ファーストの会の新人・森口が争う構図だ。 組織票の見込まれる自民・秋田、公明・古城、そして6期連続で当選している共産・大山の3人は、手堅く票を集めそうだ。一方、昨年の補選で5万5999票を集め、森口を下した大門は、前回獲得した組織票が秋田と古城に流れるため、厳しい戦いを強いられる。 このような状況下で、小池人気もあり、森口が滑り混むという最新報道も出ているが、本人は「とはいえ、選挙は仕事や勉強と違って何が正解か分からないので不安です。地道に活動を続けています」という。 しかし、「街頭でも、だんだん顔見知りになってきた人がいて、『またやってるな』なんて声をかけてくれるようになりました。昨年に続き2回目の選挙ですからね。負けるわけにはいきません」と意気込む。 2度目の選挙ということもあり、他候補者に比べて演説慣れしているのは、森口の強みだろう。また、JC理事ということもあり、他の新人候補者にはない支援ネットワークもある。老若男女と笑顔で握手に応じる様子をみると、人当たりもよさそうだ。 政策についても、「新しい地域の絆づくり」というのは、これからの街づくりにとって、重要になってくることは間違いない。しかし、その具体策は見えてこない。コミュニティづくりのための定期的なイベントを開催計画など、その内容を提示すべきだろう。 また、森口をはじめ、都民ファーストの会の候補者が言及する、「多様性」や「ダイバーシティ」という言葉も気になる。もちろん、世界を知り国際感覚を身につけることは必須だが、それだけでは単なる耳障りのいい言葉以上のものではない。 こうした部分をいかに具体化できるかが、単に都民ファーストの会の候補者としてではなく、政治家としての森口個人として、有権者に訴えかけ得る“強度”に繋がってくるのではないか。激戦区の新宿区で、頭一つ抜け出せるかが勝負だ。 〈取材・文/河野 嘉誠〉
河野 嘉誠
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