「25年で作られた条例は1本」の都議会で法律のプロができることは? 三鷹市・山田浩史候補に密着【都議選直前ルポ】
6月23日告示の東京都議会議員選挙(以下、東京都議選。7月2日投開票)。最大の焦点は、小池百合子知事率いる「都民ファーストの会」が、自民党に代わり第一党となるかどうか。が、今回のように政局の要素が強い選挙では、時として、候補者個々の資質や人となりを見ず、政党のみを見て投票する流れもできやすい。事前予想で優勢とされている「小池新党」の各候補者は、政治家としてどんなビジョンを持っているのか――4人の候補者に迫ってみる。
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【短期集中ルポ「小池新党は都政を変えられるのか?」第2回/三鷹市・山田浩史候補】
6月17日の16時すぎ、夕暮れどきの東京・JR三鷹駅南口では、少し強めの風が吹くなかを、背広姿の男性が二人並び、何やら言葉を交わしていた。
向かって右側、グレーのスーツ姿で、身振り手振りを交えながら熱心に話をしているあごヒゲの男性は、5月31日付けで自民党に離党届を出し、都民ファーストの会を応援している、衆議院議員・若狭勝である。
そして、緑字に白抜きの文字で「本人」と書かれたタスキを黒いスーツにつけ、その若狭議員に真剣な眼差しを向けながら話を聞いているのが、都民ファーストの会で三鷹市を担当する山田浩史(32)だ。3分ほどの“密談”を終えると、若狭はマイクを握り、山田は道ゆく人々にチラシを配り始めた。二人でいったい何を話していたのか。山田に聞いてみると、「演説で活かせるような、キーワードを教えていただきました」と、こっそり教えてくれた。
現役議員のアドバイスに、学ぶところは少なくなかったようだ。それまで、「議会の仕事はなんでしょうか。私、弁護士ですので、地方自治法をよくみて、もう一度考えました」などと、どうもカタさが抜けなかった山田の演説が、その後は時事ネタを取り入れるなど、小慣れた感じがでてきた。
「どこで誰が何を決めているかわからないブラックボックス体制、情報公開に消極的な姿勢、この姿勢、まさにいま国政でも見られておりますけれども、こういったところを徹底的に変えていかねばならないと考えおります」
山田の演説を立ち止まって聞いていた40代の男性は、「素人政治集団という面もあるかもしれないけど、都民ファーストの会は都民目線で距離感が近く、期待している。小池知事もこの前、三鷹に来たし、頑張ってもらいたい」と話した。
夕方の忙しい時間ということもあってか、足を止めて演説にききいる聴衆は常時3~4人程度だったが、山田はその後も、若狭議員と交代で演説をぶちながら、3名のボランティアスタッフとともに、深くお辞儀をしながら、道ゆく人々にチラシを配り続けた。
街頭演説の4日前、6月13日の昼下がりに、筆者はJR三鷹駅から徒歩5分ほどの、山田の事務所を訪ねていた。選挙ポスターが貼られたガラス張りのドアを開けると、部屋の中央で間仕切りになっているホワイトボードの後ろから、山田が顔を出した。
1984年(昭和59年)三重県生まれの山田だが、三鷹市との縁は浅くない。東大法学部時代、熱中していたテニスの練習のため、市内にある井の頭公園に多いときは週に4回ほども通っていたというのだ。
「都心から電車ですぐなのに、自然がいっぱいの三鷹の雰囲気がすごく好きなんです。是非とも三鷹から出せていただきたいと、都民ファーストの会にお願いしました。井の頭公園は思い出の場所です。先日も子供を連れていったのですが、すごく気に入ってくれて嬉しかったですね」
テニスの練習に精を出す一方で、法律の勉強も怠らず、在学中に司法試験に合格。大卒後は、司法修習生を経て、2008年に四大法律事務所の一つに数えられる西村あさひ法律事務所に入所し、弁護士として勤務した。
「弁護士時代は、主に企業法務を担当し、日本企業による海外企業の買収や独占禁止法の分野を手掛けました。相手側企業の弁護士との折衝など、大変な場面も多かったですが、Win-Winの取引を成立させた時は、非常にやりがいを感じましたね」
夕方の三鷹駅での演説指導
企業法務の弁護士として活躍
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