更新日:2017年08月01日 15:47
スポーツ

「絶対君主の父から逃れたかった」大日本プロレス・関本大介が幼少期から抱いてきた“劣等感”の正体とは?

なにかに怯えて生きてきた

――『劣等感』というタイトルの意味は? 関本:僕は劣等感の塊というか、ずっと劣等生なんです。中学から入った明徳義塾でもそうですし、幼少の頃から、お父さんが絶対君主ですごく怖かったので、なにかに怯えて生きてきたんですよ。今ではそうやって育ててもらったことに感謝してますけど、当時は早く父親から逃れたいという気持ちでいっぱいでした。 ――虐待を受けたわけではない……? 関本:虐待というのは、その人によって物差しが違うから、一概に「これが虐待」って決められないと思うんです。野球をやらされてたんですが、お父さんはたぶん、僕の体を鍛えるために、今で言う虐待的なことをやっていたんだと思います。例えば足上げ腹筋って、足が下についたらダメじゃないですか。お父さんは「下ろすなよ、下ろしたら熱いぞ」って、ライターの火を構えてるんです。それを今やれば、虐待と捉えられると思うんですけど、当時はそういう鍛え方でした。 ――実際に、足に火がついてしまったことは? 関本:ありますよ。でも結局ライターの火なんて、落ちたら風圧で消えますよね。火も弱いし、風でなびくから、親父のほうが「熱い」ってなって(笑)。それが面白くて、でも笑ったら怒られるから、こらえていたら逆に腹筋が鍛えられるっていう。意味の分からない鍛え方をしてましたね。 関本:他にも、ティーバッティングとか、走らされたりとか。毎日毎日、素振りを200回も300回もやらされたり、朝起きてランニングを3~4kmもやらされたら、さすがに嫌になりますよ。体力的にしんどいというより、精神的にしんどかったです。「今日もやるんだ……」というのが毎日なので。 ――お父さんに対して、恨みはない? 関本:まったくないです。感謝しかない。今は仲が良いですし、ほんとに感謝しかないです。 ――どんな部分で感謝していますか。 関本:お父さんが厳しくしてくれたから、つらいことがあっても耐えられるというか。少し痛いところがあったりしても、我慢できるようになりました。あとは腹が立たなくなりましたね。今やってることは将来に繋がることなんだと分かったときに、腹が立たなくなりました。文句を言ってやらないより、「はい、分かりました」って言ってやったほうが、自分のためになる。そう思えるようになったのは、お父さんのお陰だと思います。 ――リングの上であんなに強いのに、劣等感があるというのは意外です。 関本:あれは仮の姿です。サイクアウトした自分ですよね。自分が自分でない感覚。人によく、「リングに立つと普段と全然違うよね」って言われるんですよ。僕は一緒だと思ってるんですけど、やっぱりサイクアウトするんでしょうね。やらなくちゃいけないっていう衝動には駆られます。 ――どうすれば劣等感を克服できると思いますか。 関本:僕は克服してないですから(笑)。まあ、そうですね、筋トレをやればいいんですよ。筋トレをやれば、劣等感は薄れると思います。だって、筋肉がパンプして、鏡の自分を見てうっとりしてるんですよ。ナルシストでしょ。人間なんてみんなナルシストですけど。最終的になにが一番大事かって言ったら、自分が一番大事なんですよね。みんな自分の命を守るために生きてると思います。 ――筋トレをすることで、ナルシストな自分と向き合える? 関本:そうですね。鏡に映る自分と向き合える。でもその鏡を見て、満足しちゃダメなんですよね。優越感には浸りますけど、満足はしない。満足したら、そこで終わっちゃうので。
次のページ right-delta
大日本プロレスの連帯感
1
2
3
尾崎ムギ子/ライター、編集者。リクルート、編集プロダクションを経て、フリー。2015年1月、“飯伏幸太vsヨシヒコ戦”の動画をきっかけにプロレスにのめり込む。初代タイガーマスクこと佐山サトルを応援する「佐山女子会(@sayama_joshi)」発起人。Twitter:@ozaki_mugiko

記事一覧へ

■「大阪サプライズ32~STRONG WORLD2017」エディオンアリーナ大阪・第2競技場大会
http://www.bjw.co.jp/event_detail.php?id=1585
※タッグ・6人タッグ・Jr 3大タイトルマッチ開催
【開催日】8月11日(金・祝)
【開場時間】17:00
【開始時間】18:00
【会場】エディオンアリーナ大阪第2競技場(大阪府立体育会館)

■「Death ManiaⅤ」愛知・名古屋国際会議場イベントホール大会
http://www.bjw.co.jp/event_detail.php?id=1447
※ストロング&デスマッチ2大タイトルマッチ開催
【開催日】8月19日(土)
【開場時間】16:15
【開始時間】17:00
【会場】名古屋国際会議場
おすすめ記事