孤独な男と、孤独な男の、魂のぶつかり合い『真説・佐山サトル』に見る男のドラマ
YouTubeで「佐山サトル」と検索すると、佐山が主催していた修斗合宿の模様が映し出される。「殺すぞ、この野郎!」と参加選手を罵倒し、ビンタを食らわすその姿は、見る者を震撼させる。佐山サトルはキレやすく、暴力的――。いつしかそんなイメージがついた。
昨年8月、佐山にインタビューをすることになった。怖かった。下手な質問をしたら、キレられるのではないか。もしかしたら殴られるかもしれない……。しかし、実際の彼は違った。素人のどんな質問にも丁寧に答えてくれる。YouTubeの動画について聞くと、「あれはCGです」と笑う。佐山サトルは、お茶目で気のいい紳士だった。
同時に、「簡単には人を信用しない」という印象も受けた。私が初対面の素人だからというだけでなく、この人はだれに対しても壁を作る。そんな印象を受けた。だから、『KAMINOGE』で連載されていたノンフィクション「真説・佐山サトル」を読んだとき、驚いた。あの佐山がここまで本音を話すのか。著者は一体、どんな魔法を使ったのか――。その人の名前は、田崎健太といった。
田崎氏の他の著書を読み漁ると、“魔法”の正体が分かった。圧倒的な取材力である。取材対象者だけでなく、周囲の人間の内面にまで容赦なく切り込む。田崎氏にノンフィクションを書かれることを嫌がる者もいると聞いた。当然だろう。人にはだれしも、知られたくない過去がある。それを公にされては、たまったもんじゃない。つまり――。佐山サトルには、知られたくない過去以上に、「知ってほしいこと」があったということだ。
真説・佐山サトル タイガーマスクと呼ばれた男』(集英社インターナショナル)の出版記念トークショーが開催され、佐山と田崎氏が登壇した。佐山は本作を受け入れた理由をこう話した。
「僕はプロレスを背負っています。格闘技も背負っています。黙さなくてはいけないこともたくさんある。でも田崎さんは僕に、『嫌なことも書く』と言った。それはつまり、真実を書くということだと思いました」
田崎氏は、佐山に10回以上のインタビューを重ね、佐山を語る上で欠かせない5、60人に話を聞いた。佐山の兄、幼馴染み、新日本プロレスの若手時代を知る人々、メキシコ、イギリス遠征先で知り合った人々、UWF、修斗の関係者、不仲とされる前田日明……。
7月27日、『1
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尾崎ムギ子/ライター、編集者。リクルート、編集プロダクションを経て、フリー。2015年1月、“飯伏幸太vsヨシヒコ戦”の動画をきっかけにプロレスにのめり込む。初代タイガーマスクこと佐山サトルを応援する「佐山女子会(@sayama_joshi)」発起人。Twitter:@ozaki_mugiko
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『真説・佐山サトル タイガーマスクと呼ばれた男』 “孤高の虎”の真実が今、明かされる! |
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