大日本プロレスの連帯感
――自伝出版にあたり、大日本のレスラーのみなさんが、Twitterで告知ツイートをたくさんしています。本当に仲が良いんだなと思います。
関本:チームとしての連帯感は、他の団体より全然強いと思います。たぶん、巡業のとき、みんなでリングを作って、みんなで売店に立って、みんなでリングを片付けて、みんなで掃除をして、みんなで移動して、っていうのを続けているから。大日本以外にも全国を周っている団体はあるんですけど、リング屋さんにお願いしている場合も多いと思います。
関本:ある会場の方に、「リングの撤収が速いのは、新日本の次に大日本」と言われたんですよ。新日本さんはリング屋さんがいるので、自前では大日本なんですかね。キャリア、所属に関わらずやりますから、連帯感が強いのはそれが大きいと思いますよ。
――他団体の選手やフリーの選手もお手伝いしていますよね。
関本:他団体、フリーの選手も、大日本のメンバーだという意識があるような気がします。僕も仲間だと思ってますし。準備とか片付けをしているときは、ですよ。リング上では敵です。
――所属でない鈴木秀樹選手が、『劣等感』の宣伝をかなりしてくれています。サムライTV出演時だったり、ツイートだったり。なぜでしょう?
関本:いじられてるんですよ(笑)。
――今年3月に、関本選手からBJW認定世界ストロングヘビー級王座のベルトを奪った人です。鈴木選手をどう評価していますか。
関本:身長と体格、ポテンシャルもそうですし、思想もそうですけど、「ザ・レスラー」です。どこにも所属していないし、レスラーな生き方ですよね。
――8月19日(土)、名古屋国際会議場で、鈴木選手は橋本大地選手を相手に防衛戦を行います。
関本:出来れば橋本選手ではなく、自分がベルトを取り返したいですね。チャンスをもらえるなら。
――今年4月に取材をさせていただいたとき(明徳義塾で懲役6年!? 元高校球児・関本大介がトップレスラーになるまで【最強レスラー数珠つなぎvol.9】)、「鈴木選手のようなテクニックを、自分は持っていない」とおっしゃいました。プロレスにおいて、テクニックは必要ですか?
関本:技術がすべてを凌駕するときもありますし、体力がすべてを凌駕するときもありますし、ハートがすべてを凌駕するときもあります。時と場合によっても、選手によっても違う。それがプロレスのいいところだと思います。
――関本選手は、なにが一番自信がありますか。
関本:自信はないです。劣等感の塊なので。強いて言うなら、気持ちですね。メンタルが強いか弱いかで言ったら、決して強くはないです。劣等感を感じているような人間なので。ただ、リングに上がるとサイクアウトできるので、強くなるというか、普段の自分でなくなります。
――今後の目標は?
関本:漠然としてますけど、「大日本プロレスを世界一の団体にする」ということを掲げていますので、少しでもその旗を支えられるような人間になることですね。
――自伝をどんな人に読んでもらいたいですか。
関本:プロレスを好きな人には絶対、読んでもらいたいです。あとは、「関本大介ってだれ?」という疑問を持っている人にも読んでもらいたいですし、「大日本プロレスってどういう団体?」という人や、「プロレスってなに?」という人にも。読めばきっと、いろんな疑問がなくなると思います。
――ありがとうございました。
今年4月にインタビューをしたとき、「饒舌で、巧みな言葉を持っているレスラーとは違うかもしれない」と書いた。しかし、違った。関本は言葉を持っているレスラーだ。今回の取材を通して、また、自伝を読んでそう思った。内に深く、熱い思いを秘めている。関本大介自伝『劣等感』は、なにかに劣等感を抱いているすべての人に、「関本がこうなんだから、自分も頑張れる」と思わせてくれる一冊だ。
【PROFILE】関本大介(せきもと・だいすけ)
大日本プロレス所属。1981年2月9日、大阪府大阪市鶴見区生まれ。中学高校と明徳義塾に通い、野球部に所属。高校卒業後、大日本プロレスに入団。1999年8月10日、対伊東竜二戦でデビュー。デスマッチデビュー戦は、対マッドマン・ポンド「蛍光灯100本デスマッチ」。ストロングBJの象徴として、大日本プロレスのみならず、全日本プロレス、DDTプロレスリングなど、他団体でも活躍している。175cm、120kg。Twitter:
@sekimotodaisuke
<取材・文・撮影/尾崎ムギ子>
尾崎ムギ子/ライター、編集者。リクルート、編集プロダクションを経て、フリー。2015年1月、“飯伏幸太vsヨシヒコ戦”の動画をきっかけにプロレスにのめり込む。初代タイガーマスクこと佐山サトルを応援する「佐山女子会(
@sayama_joshi)」発起人。Twitter:
@ozaki_mugiko