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365日がプロレス記念日! 『プロレスきょうは何の日?』著者・鈴木健.txtインタビュー

 ある日の我が家の食卓。「お母さんの誕生日(4月4日)、アントニオ猪木が引退した日だよ!」。興奮する娘に母は、「へえ……」とにべもない返事をした。なんだよ、もっと食いついてくれよ、あの猪木が引退した日なんだよ!?  そんな私の憤りはさておき、私がなぜアントニオ猪木が引退した日を知ったかと言うと、『プロレスきょうは何の日?』(鈴木健.txt/河出書房新社)を読んだからだ。その日、プロレス界でなにが起きたのか、365日分が掲載されている。例えばこの記事を執筆している8月20日(ハッテンニーゼロ)は、IWAジャパン『真夏の夜の悪夢』デスマッチトーナメントが開催された日と書かれている。  毎日、「今日は何があった日だろう?」とページをめくるもよし、家族や友人に「あなたの誕生日はこういうことがあった日だよ」と伝えて盛り上がるもよし、過去を振り返ることでプロレスの勉強をするもよし。いろいろな楽しみ方ができる奥深い本だ。  執筆したのは、プロレス実況と解説でもお馴染み、元週刊プロレス記者の鈴木健.txt氏。業界歴30年の集大成である本書の制作秘話を聞いた。

鈴木健.txt氏

――本書を読んで、私にとっての「○.○」はいつかと考えたとき、三沢光晴さんが亡くなられた6.13だなと思いました。鈴木さんにとってはいつですか。 鈴木健.txt(以下、鈴木):学生時代に第1次UWFのラストマッチとなった9.11後楽園を見にいっているんです。なんとなく今日が最後になるのではという予感があって、当日券で入って南側の一番後ろで立って見たのを憶えています。その後、9.11というのは人類にとって忘れられぬ日になりました。それもあってパッと浮かんでくる日にちですね。 ――取り上げる日はどうやって決めたんでしょう? 鈴木:だれが選んでも大体同じになると思うんです。大きな出来事を外すと、資料としてマズい。1月4日に植木嵩行が立ったまま失神KOしたことを入れたいからといって、1.4東京ドームを外すわけにはいかないじゃないですか。そこは考えましたね。 ――比較的、スタンダードな内容が多いかなと。 鈴木:マニアの方は物足りないかもしれないですね。あくまでプロレスの入り口として、そして入り口を通ったあとその先へ進むために最適なものにしたかったんです。 ――関連ページが記載されているのは、新規ファンにとってありがたいです。 鈴木:紙媒体だけれど、別のページへリンクが貼ってある。それを辿ることによって、どんどん歴史を遡っていける仕様になっています。この本のメインテーマは「遡る」なんです。プロレスは遡ることで点と点が線になり、面白さが増すんですよね。 ――昭和プロレスを学ぶのにも、最適な教科書だと思います。 鈴木:昭和プロレスにしても、現在に繋がる内容かどうかを意識しました。いまも続いている全日本プロレスのチャンピオン・カーニバルの歴史だったり。ちなみに、この本に載っている一番古い出来事は1883年。今年4月の情報まで入れることができたので、135年分の歴史が詰まっていることになります。 ――アメリカのプロレスも多く掲載されています。 鈴木:中邑真輔さんらの活躍で海外への関心が高まっていますからね。4月はアントニオ猪木さんの引退もあったんですけど、それよりも大きく、4.6の「ジ・アンダーテイカーvsブロック・レスナー戦」を取り上げました。アンダーテイカーがレッスルマニアで負けるというのは、本当に衝撃的なことだったんですよ。 ――「地球が止まった日」と。 鈴木:Twitterではレッスルマニアのハッシュタグをつけて、世界中の人たちがどんどんツイートしていくわけです。それが、アンダーテイカーが3カウントを喫した瞬間、更新が止まったんですよね。 ――この日には2ページを割いています。ページの分量で、その出来事の大きさを知ることもできますね。 鈴木:そんなに狂いはないと思うので、そういう見方もできると思います。
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「わたしのプロレス記念日」も最高
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尾崎ムギ子/ライター、編集者。リクルート、編集プロダクションを経て、フリー。2015年1月、“飯伏幸太vsヨシヒコ戦”の動画をきっかけにプロレスにのめり込む。初代タイガーマスクこと佐山サトルを応援する「佐山女子会(@sayama_joshi)」発起人。Twitter:@ozaki_mugiko

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◆Web河出「ネット時代に365日分の出来事を一冊にする意義 プロレスの入り口と、その先へのいざない」 http://web.kawade.co.jp/bungei/2046/

表紙イラスト/榎本タイキ
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