珍名のみを狙う表札泥棒がいた
―[[珍名&同姓同名]さんの悲喜劇]―
◆えっ、まさかそんなことが!? [珍名&同姓同名]事件簿
お役所が同姓同名の別人に税金の督促状を送ったり給付金を支払ったりといったミスは少なくない。大抵は住所や生年月日の確認を怠ったのが原因だが、誰もミスしたわけじゃないのに同姓同名が思わぬ被害を生んだ例もある。
昨年6月、大阪で21歳の大学生が女性の口の中に指を入れたとして、暴行容疑で逮捕された。ところが、この男と同姓同名で同年齢の大学生が同じ地域に住んでいたから、さあ大変。名前の読みは別で大学も別なのだが、報道からは違いがわからず、無関係の大学生が犯人であるかのようにネットの掲示板などに晒されてしまった。二次被害を防ぐため実名は出さないが、そんなに多い名前でもないのに地域や年齢まで一致するとは偶然って恐ろしい。
雑誌『広告批評』(現在は休刊)でも信じられない取り違え事件が発生。’94年7月号に「絵 たなかのりゆき」とのクレジットで子供の落書きみたいな絵が掲載された。執筆者紹介にはアーティストのタナカノリユキ氏のプロフィールが掲載されていたが、当のタナカ氏はそんな絵を描いた覚えはなく、同誌に抗議。実はその絵を描いたのはある出版社に勤める同姓同名の編集者だったのだ。いったいどこをどう間違ってそんなことになったのか!? 頼んだほうも頼んだほうだが、引き受けた「たなかのりゆき」さんもねえ……。
一方、’09年には珍名さんを狙った表札泥棒が捕まっている。「電話帳で珍しい名字の家などを探し、都内や千葉、埼玉で盗みを繰り返していたといい、自宅アパートからは表札289枚が見つかった」(’09年2月18日付読売新聞東京朝刊)って、どんだけ珍名好きなんだ。しかも、「盗んだ表札は布団のまわりに並べていたといい、『崩し字よりも楷書の表札が好きだった』と話している」とはマニアックすぎ。世の中いろんな趣味があるもんだなあ。
取材・文/石島律子 漆原直行 昌谷大介 撮影/浅沼 勲
― [珍名&同姓同名]さんの悲喜劇【12】 ―
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