サブゥーは“魔法のじゅうたん”に乗って海を渡ってくる――フミ斎藤のプロレス読本#089【サブゥー編エピソード9】
FMWはサブゥーにブレイクのチャンスを与えてくれた最初のレスリング・カンパニーで、大仁田厚はサブゥーを認めてくれた最初のプロモーターだった。
受話器の向こうで、サブゥーは何度も“ファック!”とくり返した。たぶん、ホテルの部屋でベッドにゴロンとよこにでもなりながら天井に向かって話しかけているのだろう。
「オーサカには来てくれるかい?」
サブゥーは、東京プロレスの大阪大会でブラック・ウォズマ(2コールド・スコーピオ)を相手に“100点満点”の試合をしてみせるつもりらしい。ウォズマとはECWのリングで何度となく闘っている。
でも、東京プロレスのオフィスとはケンカをしてしまいそうな気がする。オフィスはそういうことを望んでいるのかもしれないけれど、いまさらブッチャー――シーク様の友人――の額に凶器を突き刺してもなにもはじまらない。
サブゥーは、魔法のじゅうたんに乗って海を渡ってくる。ランシングのちいさな宮殿には母上のイヴァさんと妃のミブゥーがいる。デトロイトに住んでいるシーク様は、なかなかおはなしについてこられない年齢になってきた。
王子は王子らしい理想をもち、気高く、そしてちょっとだけ気まぐれに生きるのである。(つづく)
※文中敬称略
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文/斎藤文彦 イラスト/おはつ1
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