スポーツ

ブラック・タイガーの「オレの親父はレベル=反逆者だったんだぜ」――フミ斎藤のプロレス読本#158[新日本プロレス199X編03]

 マンドーはロサンゼルス郊外でレスリング・スクールを経営しつつ、ハリウッド映画のスタント・コーディネーターのビジネスも手がけている。  エディのすぐ上の兄ヘクターは現役選手としてアメリカとメキシコを行ったり来たりしている。エディがプロレスラーになろうと決心したとき、年齢のはなれた兄たちはすでに実家にはいなかった。  末っ子エディは、日本でブラック・タイガーに変身した。マスクをかぶることにまったく抵抗はなかったし、歴史のあるキャラクターの“二代目”襲名を光栄なことととらえた。  日本にいるときはそんなに背伸びをしながら歩かないでもすむ。ライバルの金本浩二もワイルド・ペガサス(クリス・ベンワー)も、ディーン・マレンコも、そして獣神サンダー・ライガーも同じ目の高さに立っている。  新日本プロレスのリングに上がっているあいだはずっとブラック・タイガーを演じつづけることになるだろう。  マスクマンになってみたら、身のまわりのもろもろのできごとを第三者的な視点からながめられるようになった。マスクをかぶっていないときのブラック・タイガーは透明人間のような感覚になる。  ボーイズは、いつもささいなことでいがみ合ってばかりいる。たまに口ゲンカに参加しなければならないようなシチュエーションが起きる。  エディはプロレスはとびきりうまいけれど、背がちっちゃくて、黒い髪のチカノだ。図体のデカいホワイト・ボーイにとってはいびりやすいタイプということになるのかもしれない。  そんなとき、エディはドレッシングルームに置いてあるイスをひとつ持ってきて、その上に飛び乗って相手の目をにらみつける。 「背が低くたって、オメーなんかに負けねえぞ」とエディのなかのレベルRebelの血が騒ぐのである。 ※文中敬称略 ※この連載は月~金で毎日更新されます 文/斎藤文彦
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