雑学

日本を捨てアジアに潜む自称“貴族”の老人たち――まともな職歴なし、怠け続けた人生に焦りなし



カンボジア

カンボジアには、昼間からヒマそうにしてるおじさんも多い。※本文に登場する人物とは関係ありません

Aさんだけではない! 遺伝子レベルの自由人


 Aさんが公家なら、こちらは信濃源氏の血を引く由緒正しき武家の家柄。室町時代に二条城で時の将軍・足利義輝を暗殺したことでも有名な某家の末裔、通称「Rさん(仮名)」だ。

 このRさんも、何を生業としているのか詳細は不明。90年代から働きもせずプノンペンに入り浸り、キャリアの長さがモノを言う買春おやじの世界において、一目も二目も置かれている。

 そんなRさんの「男を上げた」逸話がある。今から7~8年前、現地人のバイクが散歩中のRさんをはね飛ばし、逃走するという事件が起きた。

 事故で右足を骨折したRさんだが、旅行保険には未加入。普通の人なら日本に帰って治療に専念するところ、大の医者嫌いであるRさんはベッドで汗みどろ。一ヶ月間、うんうん唸りながら部屋にこもって耐えに耐え、遂に気合いで自然治癒させてしまった。

 自己治療の代償として、まっすぐ歩けなくなってしまったRさんだが、これも神の思し召しよと笑い飛ばし、今日も場末のカフェでエロ話に余念がない。まさに、買春界の生きるレジェンド。

 アジアでだらだら過ごす親父たちをウォッチしていると、公家だ、貴族だと自称する人間は少なくない。

 会社の役職や学歴とは無縁の世界。他人と自分を差別化できるネタが、もはや家柄くらいしか無いのかもしれない。

 ただほとんどの場合、そのなけなしの肩書さえもが根拠のない自称だったりもするが、今回紹介したAさんやRさんのように、30年スパンで職歴がなく、無限ループで怠けながらも一向に焦る様子のない「古事記の時代から続く、遺伝子レベルの自由人」も混じっているから油断できない。

 これを読んだサラリーマンの皆さんも、たまには会社で仲間と蹴鞠でもしてみてはどうだろう? 数百年間、眠っていた高貴な血に火がつくかもよ。<取材・文/クーロン黒沢>

【クーロン黒沢】
東京生まれ。90年代からアジア(香港・タイ・カンボジアなど)、洋ゲー、電話、サバイバル、エネマグラ等、ノンジャンルで執筆。強盗・空き巣被害それぞれ一回、火事・交通事故(轢き逃げされた)各一回、その他、様々なトラブルを経験した危機管理のプロ。現在は人生再インストールマガジン『シックスサマナ』発行人。同名のポッドキャストも放送中。

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