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17歳で3000万円の借金を背負った「ミスiD」起業家アイドルの生き方

栄藤仁美

好きな本は「林真理子さんの本」だという

――ゲーム音楽のプロオーケストラ「JAGMO」には、どういったきっかけで参加したんですか? 栄藤:ゲーム音楽のアマオーケストラは、たくさんあるんです。JAGMOもそのひとつで、知り合いがやっていたので、ずっと「もっとこうすればいい」ということを口出ししてたんですね。  あるときに、「大手のゲーム曲が使わせてもらえない」という話になっていて。みんな代表電話から電話したんですけど、断られた、と。たまたま、昔からお世話になっている方がその会社にいたので、話だけ聞いてもらいに行ったんです。 「曲を使わせていただくことで、良いことも悪いことも、すぐには起こらないと思うんですけど…やらせてもらえませんか?もしかしたらしばらくやってなかったゲームをまたやりたい、知ってたけど遊んでなかったタイトルをやってみたい。そう思ってもらえるきっかけになるかもしれないから」  と正直にお願いをしたら「まあ、おもしろそうだからいいんじゃないか」って言ってもらえて、日本で初めて、その会社の曲をそのゲームタイトルオンリーの主催コンサート以外のオーケストラでやらせてもらえることになりました。   ――JAGMOの演奏は、NHKでも番組を組まれるなど、大きな注目を浴びていますね。 栄藤:ゲーム音楽のオーケストラに関して、一緒にやっているパートナーの深澤恵梨香は、東京音楽大学の作曲科を卒業しています。彼女は昨年放送のアニメ『Just Because!』で、やなぎなぎさんと共作で音楽制作や、映画『君の名は。』の音楽協力でのオーケストレーション、大人気の『けものフレンズ』の東フィルコンサート(けものフレンズ×東京フィルハーモニー交響楽団「もりのおんがくかい」)の音楽監督、アレンジを担当しています。実は彼女と一緒にJAGMOを卒業したのですが、今年また面白いことを企画中なんですよ。  今後も、ゲーム音楽のオーケストラだけじゃなく、アニメやゲーム音楽の制作など、彼女と一緒にいろんなことをやっていきたいと思っています。 ――その他に、今後やってみたいことはありますか? 栄藤:最終的には、やっぱり花街や関連する伝統文化を発展させていきたいですね。その入り口として、ハレの日に着物を着る文化を広めたり。着物って、日本の文化のなかでも屈指のインスタ映えすると思うんですよ。  とはいえ、ふだんから着物を着るのが難しければ、「着物を来て、こんな旅行やイベントにいきましょう」という、シチュエーションを作るのがいいかもしれません。  たとえば、ヨーロッパにオペラを見に行ったら、自分がドレスアップをして、劇場に足を運ぶということで、自分の気分も高まって、より楽しくなると思うんですよ。ドレスコードとしてじゃなく、オシャレとして楽しむとか。着物の敷居が高ければ、浴衣でもいいですよね。  最近は、歌舞伎界もイケメンの役者たちがテレビに出たり、スポークスマンとして活躍されています。ただ、歌舞伎界でも「役者は芸だけに精進するべき」というふうに、こういった動きに対する批判する人もいましたし、壁は大きかったんです。  でも、「ワンピース歌舞伎」なんかで歌舞伎に興味を持つ人が増えて、すごく良いきっかけになっている。京都の花街でも、こういった動きができるようにがんばっていきたいです。 <取材・文/森祐介 撮影/林紘輝(本誌)> 【栄藤仁美】 1989年、京都生まれ。京都の花街で、老舗お茶屋の跡取りとして生まれるも、舞妓になる道を絶たれ、起業。17歳で3000万円の借金を背負うが数年で完済。現在は飲食業を経営する傍ら、「東京ガールズコレクション」や、日本初のゲーム音楽プロオーケストラ「JAGMO」のプロデュースなどを手がけていた。「ミスiD 2017」では安藤美冬賞を受賞
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