『夫のちんぽが入らない』著者こだま、匿名の罪悪感から近所の猫を肥えさせる
「いきなりだが、夫のちんぽが入らない」――衝撃の告白で始まる私小説『夫のちんぽが入らない』の大ヒットはまだ記憶に新しい。同書は’18年に漫画化・実写化が控えているというのだから驚かされる。そんな問題作でデビューした主婦こだまの、待望の二作目が出版された。カルチャー誌『クイック・ジャパン』の連載「Orphans」を一冊にまとめたエッセイ集『ここは、おしまいの地』。『ちんぽ』から一年、北の“おしまいの地”で夫や家族には何も言わず、猫を撫でながらひたすら文章を書き続けた彼女の「今」と「これから」について聞いた。
――デビュー作『夫のちんぽが入らない』が大きな話題となりました。ただその一方で、一見話題づくりとも取られかねないタイトルや、「入らない」事実ばかりがクローズアップされ、こだまさんの「文章の美しさ」を評価する人が少なかったように思います。また、話題を呼ぶにつれ賛否両論を生み、厳しい批判にもさらされました。まずはその一作目について、いま振り返ってどう思いますか?
こだま:「入らない」こともそうですが、主人公(私)が問題を解決しようとしない点に「イライラする」という感想が多かったです。そういう思考が染み付く過程があり、周りが簡単にクリアできることに一生つまずく人もいるということを書きたかったので、真っ当すぎる反応だと思いました。何も言えない自己肯定感の低い人の頭の中はこうなっているのかという意見や、共感できないけど文章は好きだと言ってくれる人もいました。大雑把にまとめると「いろんな人がいる」ということを言いたい本でした。だから、この本を嫌悪する人にも、共感してくれる人にも等しく事情がある。賛否両論なのはいいことだと思います。「いろんな人がいる」ことの証明だから。
――Amazonのレビュー欄には「KUSO」だの「病院に行け」だの、本の感想とはかけ離れた散々なレビューがついています。デビュー作は『ちんぽ』ではないほうがよかった、と思うことはありませんか?
こだま:いえ、これが一作目でよかったんです。何を書くのも怖くなくなりました。非難されたらどうしようと遠慮することもない。自分をよく見せる必要もない。何を書いても『ちんぽ』のあいつ、で済むのは気持ちが楽です。そのせいか、新刊は「のびのび書いているね」と言われています。結果的に、たくさん叩かれたことがプラスになりました。前に進めてよかったです。
――その新刊『ここは、おしまいの地』ですが、一作目とは違って、主にこだまさんの文章に魅せられた人たちが買って読んでいるという印象を受けます。私としても、二作目こそ評価され、『ちんぽ』ではなく「作家こだま」が広く知れ渡ってほしいと思っています。なので今回、その中の一編「川本、またおまえか」が“試し読み”として公開されたのはうれしかったです。
こだま:「川本」は一番思い入れのある作品です。私には生まれつき顔面に茶色い痣、耳には巨大なホクロがありました。小学校からの同級生の川本君に「うんこみたい」とからかわれ、そのうえ赤面症にもなり、「自分は汚い、醜い」と思いながら過ごしていました。コンプレックスで身動きが取れなくなる私とは逆に、川本君はどんどん人気者になっていく。川本君との小・中・高校時代、そして再会した日。十数年かけても変わらなかったところ、実は少しずつ変化していた部分。意外な結末を迎えるので読んでいただきたいです。
何を書いても“ちんぽのあいつ”
★こだま著『ここは、おしまいの地』の試し読みはこちらから!
⇒http://www.ohtabooks.com/sp/oshimai/
★「夫のちんぽが入らない」特設サイトにも試し読みコーナーあり!
⇒http://www.fusosha.co.jp/special/kodama/
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『ここは、おしまいの地』 『夫のちんぽが入らない』から1年。 “ちょっと変わった"人生のかけらを集めた自伝的エッセイがついに書籍化 |
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『夫のちんぽが入らない』 “夫のちんぽが入らない”衝撃の実話――彼女の生きてきたその道が物語になる。 |
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