漫画家ゴトウユキコ「性描写は恥ずかしいけど描かないとだめになる」
先日、講談社が自社ビルに掲出したある作品の懸垂幕が近隣からの苦情により撤去される騒動があった。タイトルは『夫のちんぽが入らない』。主婦こだまによる同名私小説を原作としたゴトウユキコによる漫画作品だ。
ゴトウはこれまで性をモチーフにした作品を手がけることが多かった。使用済みナプキンに興奮を覚える男子生徒が主人公の『R-中学生』。母親のレイプシーンをその子供が覗き見ているところから始まる『水色の部屋』。いずれも作品はどこか後ろめたくてエロい。生々しい性描写とともに紡がれる “生きにくい”人たちの物語は、性に蓋をしがちな世間への静かな抵抗のようにも思える。
そんなゴトウが新作として手がけたのが、『夫のちんぽが入らない』のコミカライズ。「夫のちんぽが入らない問題」に悩み、生きる女性さち子の半生をどう描いたのか。仕事場を訪ね、話を聞いてみた。
――まず最初に、コミカライズするにあたって原作を読まれたとき、夫婦の“ちんぽが入らない”関係をどう思いましたか?
ゴトウ:これまではSEXのない関係になったら“終わり”だと思っていました。お互いの気持ちが離れたからSEXしなくなるんだって。でも本を読んで、SEXがなくなることと気持ちがなくなることは違うって知りました。私は愚かでした。SEXしなくてもお互いを思いやることができる、とても純粋で、いい夫婦だなって思います。
――漫画『夫のちんぽが入らない』第一巻では、やがて夫婦になる大学生・さち子と青年・慎の、穏やかな日常とは対照的に“入らない”ゆえの痛々しい性生活が描かれています。
ゴトウ:全然入らない、とにかく痛い、というのができるだけ伝わればと思って描きました。なので気持ちのいいSEXを描くのとはまた違う難しさがあった。表情でなんとかしようと心掛けたつもりです。
――原作のSEXシーンで印象に残っているところはどこでしょう。
ゴトウ:ベビーオイルを使って、夫のちんぽの先の方だけようやく入った場面。痛々しくて目を背けたくなる場面だけど、こちらまでうれしくなり、妙な感動がありました。あと、SEXではないですが、出会い系で知り合う“山おじさん”の話。おじさんは主人公に無理やりきんつばとういろうを食べさせて、その口のなかにでぐちゃぐちゃになったものを食べるところ。大好きです。読んでいてとてもドキドキした。こんなことされたいと思った。すけべな気持ちになりました。
――すけべ、な気持ち。
ゴトウ:はい。すけべです。
――「すけべ」という言葉、久しぶりに聞きました。ゴトウさんはすけべな話をすることにはあまり抵抗がないほうですか?
ゴトウ:今はないです。でも田舎に住んでいた頃は、そういう話はできなかったです。デビューしたての頃、すけべな漫画を描いているのが周りにバレたとき、家族・友達・親戚・近所の人の目を冷やかに感じました。上京して何年か経った今では、田舎の狭い環境にいたことで、余計にそう思い込んでしまっていたように思います。
出会い系の“山おじさん”に興奮
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