「ちょっと不幸なM気質」――サウナにハマる人の意外な共通点
サウナに行くと、20代とおぼしき若きサラリーマンたちが汗を流しながら話していた。「サウナのドラマが始まったけど見てる? 『サ道』とかいうやつ。あれ面白いよね」。タナカカツキのサウナ漫画がドラマ化され、温浴施設がにわかに賑わいを見せている。また、サウナを題材にした漫画も増えている。まんきつ著『湯遊ワンダーランド』、大町テラス著『お熱いのがお好き?』は、先の『サ道』には描かれていない「知られざる女湯の世界」が垣間見えて興味深い。そして「男湯」と「女湯」はもはや別世界であるとわかる。そこで今回はサウナ好きとしても知られる漫画家まんきつ・大町テラス両氏に「女湯の真相」を聞いてみた。
――まんきつさん、『お熱いのがお好き?』を読んでいかがでしたか?
まんきつ(以下、まん):主人公(バツイチのデザイナー・西宮まみ)のサウナにハマっていく描写がとってもリアルでした。サウナや水風呂に入ったときの主人公の表情もそうですが、サウナ好きのマスターがいるバーでの会話とか、何気ない細かいところまで「リアルだなー」と思って読みました。これはご自身の体験がベースになっているのですか?
大町テラス(以下、大町):そうですね。最近まで私もデザイナーとして働いていましたし、主人公のように人に指示を出すのが苦手だったり。けっこう自分がベースになっています。そのバーも実際に通っていたところをモデルに描きました。
――西宮まみは、バーのマスターに勧められてサウナに通い始めます。大町さんがサウナに通い始めたきっかけは何だったのでしょうか?
大町:サウナにハマったのは仕事のストレスが大きい時期でした。美大を卒業して、デザインの仕事に就いたものの、深夜まで働いて体調を崩しながらポスターやチラシを作り続けて。自分がやりたかったことはこれで合っているのか、やりたくないことで日々を消費しているのでは、と悶々としていました。職を転々として、収入は増えていっても満たされない。それでお酒ばかり飲んでいました。夜もなかなかスムーズに眠れなくなり、コンビニに行ってはウイスキーを買って飲んで憂さ晴らし。そんな時に出会ったのがサウナでした。そのモヤモヤをサウナが吹き飛ばしてくれたんです。
まん:わかります。私も以前アル中で、ウイスキーで一気に加速したのを覚えています。あの頃はブログを始めて、最初こそ楽しくルンルン気分で書いていたのに、話題になると「つまらない」とか「早く死ね」とか意地悪なコメントも増えてきて。更新しなきゃというプレッシャーと、更新してもたたかれるという恐怖から思うように書けなくなってしまいました。そのストレスのはけ口がお酒だったんです。最終的には病院に通ってお酒を断ったのですが、今ではそのお酒という息抜きの代わりにサウナがあります。
大町:そういう経緯もあって、サウナを漫画に描こうとしたとき、よくあるグルメ漫画みたいに「おいしいものを食べてハッピー!」だけにしたくなくて、仕事の話だったり恋愛だったり、ちゃんと“失敗”を入れたかった。漫画の主人公も、実体験をまじえて、私と同じように苦労していてほしかったんです。
まん:錦糸町にある「ニューウイング」という温浴施設の支配人が言ってましたけど、「不幸な人がサウナにハマる」んですって。そう考えると、私もその頃は不幸だったのかも。
大町:そういえば夫が「疲れてないとサウナは気持ちよくない。たくさん働いて疲れたあとだからこそ気持ちいい」って。確かになって思いました。サウナは「がんばりすぎちゃう真面目な人がハマる」のかもしれない。そのがんばりすぎちゃう真面目な人の中にはきっと不幸な人も多いのかもしませんね。
――サウナにも向き不向きがある、ということでしょうか。
大町:サウナが「熱くて苦手」って人はそもそも無理で。向いているのは、我慢が好きな、ややM気質な人なんだと思う。ビジネスマンとか、特に経営者とか仕事がデキるタイプの人にサウナ好きが多いのも、探究心とか好奇心が強く、耐性が備わっているからなんじゃないかって気がします。
まん:ストイックな人がサウナにハマっている印象がありますね。芸人さんとか、あとジャニーズの人とか。表に立つ人は人の“念”を常に浴びているから、それをサウナで汗をかくことによりスッキリ流したいというのもあるのかもしれない。
大町:現状に満足している人は、「耐える快感」がわかるまで時間がかかるかも。
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