さて、そんな古い慣習や体育会系な気質を引きずる時代錯誤な上司の姿はどこの会社でも見られるものかもしれないが、自動車メーカーならではの珍事を紹介しておこう。 「うちの会社では、もはや伝説になっている話があるんですよ。自動車メーカーなので倉庫には車の試作品がたくさん転がっているんです。昔、そこにやってきた部下が、なんと上司の男女同士がカーセックスしている現場を見てしまったらしいんですよ」 　ズラリと並んでいる試作品の1つがゆっさゆっさと大きく揺れていたそうだ（笑）。ちゃっかりカバーをかけて禁断の愛を楽しんでいたというが、車内からは声が漏れていてバレバレ。 「そんな上司に何を言われたところでくすり笑いしか出てこないですよね。さっきまで会社の試作品の中で腰を振っていた奴に（笑）」 　会社の試作品の中で、そんな情事が行われていたとは……。普段は厳しい上司だったが、目撃した当人はもちろん、その噂が広まり、部下たちは溜飲を下げることができたという。 　とはいえ、労働現場におけるパワハラが叫ばれ始めたのも最近のこと。そういった概念のない上層部の人間がこぞって引退するまで、徳永さんの会社ではしばらく厳しい状況が続きそうだ。＜取材・文／國友公司＞ ― 本当に実在した！ 隣のブラック上司たち ―元週刊誌記者、現在フリーライター。日々街を徘徊しながら取材をしている。著書に『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』（彩図社）。Twitter：@onkunion