日本人女性「侮辱動画」の背景か? 前日コロンビア人に言われた「“ニッポン”が侮蔑語と似てる」
男性は記者にはわからないよう、スペイン語を使ったつもりらしいが、記者には理解できてしまった。記者は「それは違う」と反論すると、女性は烈火のごとく怒りだした。「私には全然聞こえない! しかも女性の前でなんてこと言うの?」と。
冷静に記者は聞きかえした。「ニッポンと●●●●(ここではあえて書かない)どこが似ているんだ?」と。理知的に見えた男性は「聞こえるから仕方がない」。すると女性は「それ、明日の試合で言ったら絶対にダメ」と強い口調で抗議をしてくれたのだ。
この時は後にこのようなSNSでの炎上事態が起こるとは思っておらず、記者自身もスペイン語は全く堪能ではないので、「確かに“撥音(はねる音)”だけは共通するが、どういった構造でそう聞こえるのか……?」と考えこんでしまったのは事実だ。(スペイン語に詳しい方にはご教授いただきたいし、聞き取り取材を継続したいと思う)
男性のほうもそれほど悪気はあるとは思っておらず、むしろ「そんなの皆言ってるぜ」と言った態度であったのも確か。人権意識の高いアメリカ在住なら、それが差別的にとられるのはわかっているはずだ。
サッカー界ではこうした自国(や自チーム)の品位を貶めるヤジや嘲笑が頻繁に起こっているのも現実だ。記者自身も人種差別的な嘲笑をされたこともある。
ただ、コロンビアサポーターが“ある言葉”と我々のコールが似ているという理由で、嘲笑していたことがSNSでの行為の伏線となっていたとしたら、なんとも複雑な気分になる。自分の胸に手を当てれば、外国語が日本語の卑語に似ているのを聞いて、笑ったことがないかと言えば嘘になるからだ。
ただ、動画を上げたのは度を越した行為であることは確か。サッカーの世界では差別的言動は厳重に罰せられる。事実、動画を上げた男性は謝罪し、男性の行為を糾弾するコロンビアサポーターの動画も上がっている。ウィットがあり、日本人からは考えられないほど人懐っこいコロンビア人、今後は彼らの良識に期待したいと思う。
取材・文・撮影/遠藤修哉(本誌)
「みんな言ってるぜ」という軽いノリだったが…
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