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従業員の3人に1人がお笑い芸人…謎の「芸人だらけの清掃会社」の実態とは?

清掃会社の倉庫には所狭しと清掃マシンが並ぶ

バイトなのに気づけばどんどん出世していた

――僕から見れば、9割方軸足はバイトにあるように思いますが……木下さんはこちらでどんな業務に? 木下:いまAさん(超有名衣料量販店)の全店舗・800店舗くらいをウチが全部清掃にあたってまして。だからAさんだけで、ウチの売り上げの半分ぐらいいってる大顧客で。それの関東の店舗は、全部僕が仕切ってます。 ――え!? 国民服ともいえるAの、関東を仕切ってるのが木下さんなんですか!? 木下:はい。基本的にはずっと店を回ってます。そこに人を派遣して、トラブルがあれば駆けつけて。 ――東京営業所・所長の仕事といえば納得ですが、いちバイトが受け持つ仕事の大きさじゃないですよ、それは! 木下:だからもう、ここの社長になってやろうかって思ってるんです。もうそれしかないんですよ。 ――芸を続けるために始めたバイト。それなのに社長になったんかい!と。そこを目指さないと芸人として上に行けないってわけですね。 木下:社長になったら、お金を自由に使えるようになるじゃないですか。それをお笑いに回したいんです。例えばミニFMの番組のスポンサー・1社提供となって、そこで僕が喋るとか。だから社長になれば、お笑いで活躍できる場を買い取れる。 ――本当に笑いが好きなんですね。 木下:だから言ったじゃないですか、軸足は芸人だって! ――でも社長になるなら、バイトから社員にならないと。 木下:いや、バイトから直接社長を目指します。 ――甲子園未経験の高校球児が直でメジャーを目指す、みたいな(笑)。 木下:でも僕が次期社長を狙うのを疎ましく思ってる社員さんもいるんですよ。「芸人のバイト風情が」って。でもね、はっきり言って一番働いてるのは僕だし、そこで結果を出すしかないです。 ――50人近く芸人が集まると、何かおかしなことが起こるんじゃないですか? 木下:最初は僕らが劇場の若い子らに「バイトしないか?」って声かけて、それで50人近くに膨れ上がったんです。でもそれをどこで聞きつけたのか、ある日会社に電話がかかって来て「芸人になりたいんで、働きに行っていいですか?」って。 ――吉本に電話せえ、って話ですよね(笑)。 木下:そうなんですよ。それが逆転しちゃって(笑)。最初は「イカれたヤツから連絡が来た」ぐらいにしか思ってなかったんですけど、面接したらお喋りも達者だし凄く真面目な子で。 ――彼はどういう動機で? 木下:彼は、僕がAbema TVでバイトの話をしてるのを見たらしいんですよ。それで僕のことを検索したら、その清掃会社にはたくさんの芸人がいるらしいと。「だったらまずはその清掃会社で、お笑いのことを学びたい。NSCに入るより実践で学べるし、そもそもバイトだからお金も入る」と考えたそうです。 ――それで彼を採用したんですか? 木下:採用しました。でも最初は、ひとり現場の仕事もあってそこに入れようとしたんですが、「それだと芸人として身にならない」「芸人のいる現場に入れてくれ」って。 ――バイトで入ったんだから、バイトせえ(笑)。 木下:そうなんですよ。でもライブでデビューするまでは面倒見ようと思ってます。
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清掃業に集まる人は「ヤバい奴ら」ばかり?
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