日本×ポーランド戦に激しいブーイング。現地にいた日本人サポーターも「否定派8割」
現地時間27日に行われた、日本×ポーランド戦、日本は0−1で破れたが、勝ち点、得失点差で並んだセネガルに、今大会から導入された「フェアプレーポイント」の差で2位となり、2大会ぶりの決勝トーナメント進出を決めた。
この試合を現地で観戦しようと会場であるヴォルゴグラード・アリーナに赴いた記者だったが、前日にお届けしたリポート通り、真夏の東京よりも過酷な酷暑と湿気に悩まされることとなった。
まず、スタジアムのすぐ裏にある、観光名所「ママエフの丘」に行ったのだが、午前中にも関わらず気温計は40℃を指すという、異常事態。ちょっと歩くだけで汗が吹き出し、しかも日陰がほとんどないため、頭痛を引き起こすほどの暑さ。こんなんで試合ができるのかと心配になるレベルであった。
ママエフの丘から歩き、試合開始3時間前に、スタジアムに着いたが熱心な日本人サポーターはすでに入場口の周りに集まっており、それぞれが日陰に涼を求めていた。アスファルトの照り返しはまったく容赦なく、周辺に高いビルもなく、日陰がほとんどない。とあるサポーターに聞くと「アジア予選の中東に来たみたいだ」と笑っていた。
記者は中東に赴いたことがないのでなんとも言い難いが、開門前の日本人サポーターは辛抱強く、そして静かにその時を待っていた。
スタジアムに入り、スタンドを見回すと驚かされた。セネガル戦であれほどいた青のユニフォームを着たサポーターが目立たないのである。バックスタンドの一部に固まったサポーターの集団は、白と赤のシャツを着たポーランドサポーターの陰にすっかり隠れていた。
近隣ということもあるだろう、ポーランドサポーターは約6割。ただ、白が中心のユニフォームなので、コロンビアほどの迫力はない。直射日光がもろに当たるバックスタンドでは、パンツ一丁になっているオッサンも何人かいる。チアリーダーの格好をした女のコもいて、バラエティに富んでいる。
日本人が1割、あとは地元のロシア人、記者の周りは完全に地元の単独中年男性ばかりだ。試合が始まるといきなり後ろの席の男性から頭を掴まれた。「コロンビア、セネガルの試合を見たぞ。今日も勝てる、大丈夫だ!ポーランドを倒せ!」。力強いハグ(?)を受け動揺する日本人オッサン。どうもロシア人にとってポーランドには特別な感情があるようで、やたら「ポーランド云々」と言ってくる。
圧倒的なポーランドサポーターの歌声が響くなかキックオフ。ただ、ピッチ上のポーランドはコロンビア、セネガルに比べて動きが鈍いように見える。これは大いにチャンスがあるのでは……とその時は思った。
ただ、先発メンバー6人を代えた日本も同様に、明らかに連携を欠いていた。前半は非常に退屈で、GK川島のビックセーブが唯一の”見せ場”だったと思えたほど。周りのロシア人は日本のクリアーやアタッキングにいちいち拍手を送ってくれるから、なんとも頼もしい限りだ。
後半14分、フリーキックから相手FWベトナレクにゴールを決められた。DFのマークがまったくつかない、いわゆる「どフリー状態」。思わず頭を抱えると、周りのロシア人も頭を抱えていた。
後ろのオッサンはスマホを見せてきては、同時刻に行われているコロンビア×セネガル戦の経過を教えてくれる。この時点で日本は3位に転落。グループリーグ敗退の危機である。日本は大迫、乾と攻撃的な選手を送り出し攻めの姿勢をみせたが、相手のゴールに迫ることすら叶わない。
記者もスマホを取り出し、コロンビア×セネガル戦の経過を追う。依然0-0。このままだとグループリーグ敗退だ。「セネガルなんとか勝ってくれ……」。
その願いも虚しく、残り15分でコロンビアが先制する。後ろのオッサンが画面を見せて教えてくれるのだが、ちょっとウザい感じになってきた。
FIFAの速報を見ていたら、暫定の順位表が2位になっている。「!?」。なんと今大会から導入された「フェアプレーポイント」(警告数などから換算)があるらしく、その僅かな差で2位だという。
そこから中継を見ていたオッサンのスマホに釘付けとなり、目の前で行われている試合はそっちのけとなってしまった。さらなる異変はピッチ上で起きていた。日本がバックラインでゆったりとしたパスを回し始めたのだ。
1
2
この特集の前回記事
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ