ライフ

女性と飲むときは要注意、“飲みやすいけど酔いやすい”カクテルのお作法

― 30代が知らないと恥ずかしい! 今さら聞けないお酒のキホン第10回 ―  カクテルのなかには、ジュースや生クリームと組み合わせることで、とても口当たりが良く美味しく仕上がっているものもあります。とはいえ、蒸留酒がベースになっているとアルコールもそこそこ入っているので、杯数を重ねると当然酔っ払ってしまいます。  今回は、美味しいのでオススメですが、飲むペースや杯数に注意したいカクテルを紹介します。女性をお酒の力で酔わせてなにかしようなんて最悪にかっこ悪いし、バレバレなのでやめましょう!

女性をお酒の力で酔わせてなにかしようなんて最悪にかっこ悪いし、バレバレなのでやめましょう

あまりにも有名すぎるスクリュードライバーやソルティドック

 まず、飲みやすく酔いやすいカクテルとして有名なのが、ウォッカベースの「スクリュードライバー」や「ソルティドッグ」、テキーラベースの「テキーラサンライズ」です。癖がなくアルコール度数の高い蒸留酒をオレンジジュースやグレープフルーツジュースで割っているので、お酒感が薄まっているのです。のどが渇いているとさくさくっとお替りしてしまいがちですが、お酒に弱いと1時間後くらいに完全に酔いが回ってしまいます。

ウォッカ45ccをオレンジジュースで割ったのが「スクリュードライバー」です

クリーム系なのに危険!? アレキサンダーやホワイトルシアン

 本連載でも紹介しましたが、クリーム系なのにブランデーベースの「アレキサンダー」や、ミントがさわやかな「モスコミュール」も蒸留酒が30~45cc入っており、お酒が弱い人がお替りしまくると危険です。

ブランデーとクレームドカカオ、ママクリームをシェイクした最高に美味しいカクテルのひとつ「アレキサンダー」

「カルアミルク」が好きなら似たのがあるよ、と「ホワイトルシアン」を勧めるのも黄色信号です。ウォッカとコーヒーリキュールに生クリームを浮かべたもので、がっつりお酒が入っています。ロックカクテルなので、ロングカクテルと比べるとさらに早く酔ってしまいます。  ジンとウォッカをベースにしたショートカクテルの「ルシアン」やジン、ウォッカ、ラム、テキーラと4スピリッツ混合の「ロングアイランドアイスティー」などは、お酒を飲めると自負している人でもノックアウトされかねないほどパンチ力があります。気軽に人に勧めるのは避けたほうがよいでしょう。

味は?だけど見た目は美しいプースカフェスタイルカクテル

 プースカフェスタイルのカクテルも見た目と違ってインパクトがあります。プースカフェとは、リキュールや蒸留酒の比重の違いを利用し、慎重に重いお酒から注ぐことで綺麗に分離した状態を維持するのが特徴です。まず、作るのがとても難しく、練習も必要です。また、作るのに時間がかかるのでお店が忙しい時には対応できません。さらに、比重の違いと見た目の美しさを優先しているので、美味しくはありません。料金も普通のカクテルの数倍かかりますし、普通にバーで飲んでいるぶんには、頼むことがほとんどないカクテルの一つです。

コーヒーリキュールとアイリッシュクリームリキュール、オレンジリキュールを重ねたカクテル「B-52」

 ただし、一番上に生クリームがあるとアルコールの香りがしませんし、宝石が重なっているような超絶美しい見た目です。通常は小さなグラスに作るので、量もそれほど多くはありません。とはいえ、一気飲みすると、そこまで美味しくはないですし、意外とアルコール度数が高くびっくりするでしょう。

パンチ力5つ星のニコラシカ

 筆者の好きなカクテルトップ3に入るであろう「ニコラシカ」もパンチ力5つ星の強いお酒です。ニコラシカは、ブランデーのストレートの上に、レモンの輪切りを乗せ、そこに砂糖を載せたカクテルです。飲む際は、まず砂糖ごとレモンを口にいれ、もぐもぐします。酸っぱさと甘さが口いっぱいに広がったところで、ブランデーを一気に口に入れ、さらにもぐもぐします。酸味と甘みとブランデーのコクが三位一体で混ざり合い、至上の口福です。カクテルのなかで唯一、客の口の中で完成するスタイルなのです。ちなみに、これもプースカフェスタイルほどではないですが、作るのが面倒なのでどこのバーでも出してくれるというわけではありません。  筆者が最高に美味しそうに何杯も飲んでいると、私も同じものを飲みたいという人が出てくるのですが、ブランデーをショットで飲むので度数はなかなかです。口当たりも想像よりも弱くなっているので、美味しい!と絶賛してくれますが、その後ほとんどが酔っ払ってしまいます。取り扱いには注意しましょう。

お酒がそこそこ飲めるのであれば、ぜひどこかでチャレンジして頂きたい「ニコラシカ」

 プースカフェスタイル以外のすべてのカクテルは、アルコール度数は高いですが、最高に美味しいカクテルです。自分で飲むぶんにはいくらでも問題ありません。人に勧めるときには、配慮を忘れないようにしたいものです。 <文/柳谷智宣>
お酒を毎晩飲むため、20年前にIT・ビジネスライターとしてデビュー。酒好きが高じて、2011年に原価BARをオープン。2021年3月には、原価BAR三田本店をオープンした。新型コロナウイルス影響を補填すべく、原価BARオンライン「リカーライブラリー」をスタート。YouTubeチャンネルも開設し生き残りに挑んでいる
おすすめ記事