雑学

ラブホは独りで泊まる大都会のオアシスであり、快適空間だ/文筆家・古谷経衡



ラブホ=情交の固定観念は解体するべし


 しかし、まだまだラブホテルを一般のホテル代わりに「独りで」使用する、という行動そのものに抵抗を持っている人間は少なくない。ラブホ=情交、という図式が頭の中に刷り込まれているのだ。この固定観念を一旦解体して頂きたい。

 確かにラブホと一般のホテルは法的な位置づけがそもそも違う。ラブホは風営法(警察)の管轄下にあるが、シティホテルやビジネスホテルは旅館業法(厚生労働省)の管轄下だ。その昔、「連れ込み旅館」などと言われた現在のラブホは、その歴史的成り立ちから管轄する官庁も違えば、成立とその後の変遷、進化の過程も違う。

 しかし、重要なことは、私達は快適な宿泊・休憩環境を求めている、ということだ。サービスを規制する法体系の違いは、快適さの前には無視してかまわない。

 事実、20年五輪で東京のホテル客室が足りないから、ラブホを活用してはどうかの案が、経済産業省から出ている。ずいぶんと手前勝手な発想だが、時代は変わったのだ。

 ラブホは「2人で使用する淫靡な空間」では最早無い。ラブホは独りで泊まる大都会のオアシスで有り、快適空間だ。ラブホこそ、私達の心の渇きを癒やしてくれる最後のザイオンなのである。

 私は、北は北海道から南は沖縄まで、主要なインターチェンジと歓楽街にあるラブホを、出張や旅行のたびに泊まり歩いてもう十余年になる。ここまでくると、ラブホテルの善し悪しというものが、WEBサイトを見れば瞬時に分かる玄人眼というものが、自然に養われてきた。それどころか、どのホテルがどの曜日帯に満室か否か、というのも直感で察知できる。

 だが、いかにもキラキラ女子が好みそうなリゾートラブホに、私は興味は無い。男が独りでも泊まることの出来る、無骨で実用的なラブホが私の好みである。かといって、そういったキラキラした昨今隆盛中のリゾート型ラブホに泊まったことが無いのかと言えば、そうではない。ピンからキリまで、私の頭の中では日本地図とインターチェンジと繁華街の上に、ラブホマップがひしめいている。是非ともこの知識を、読者の皆様にお伝えできないかと考えて早数年が過ぎた。

 ラブホテルは、ミシュランガイドと違ってその評価を総覧したカタログが存在しない。なぜかと言えば、ラブホ業界は中小零細企業の混合で有り、大チェーンがあまり存在せず、強固な業界団体の力が無く、各自バラバラの個別経営だからである。

 だから人々は、「どのラブホに行けば良いのか」の指標を持たず、いたずらにラブホ街をうろうろして「満室」の表示のたびに路上へと弾かれるのだ。こういうカップルの姿を観るたびに、実に無残で滑稽であると思う。私ならば最も良いラブホテルをご案内してあげられるのに。

 ならば拙者が、これまで血と汗と足で以て稼いできたラブホ情報を開陳しようでは無いか。本稿が、この窮屈な国の中で、快適と自由と癒やしを求める諸兄による、洗練されたラブホ・ライフの一助になることを願ってやまない。

●ラブホテルQ&A

Q.そもそもラブホテルって一人でも泊まれるのですか?

A.何ら問題はありません。それどころか、最近では入り口に堂々と「お一人様歓迎」の張り紙があるラブホが目立つようになってきました。ビジネスホテルやカプセルホテルとの競争が始まっているのです。無論「女子会OK」というラブホも多く有り、女性独りでも泊まることが出来ます。しかしながら、地域によって違う場合が有り、筆者の感想で言えば、概ね関西圏(特に大阪市内)は「単独宿泊」は拒否される場合が多い印象です。その辺りも、場数を踏んで慣れるしか無いでしょう。

ふるや・つねひら。‘82年北海道生まれ。文筆家、評論家。一般社団法人日本ペンクラブ正会員。ネット保守、若者論、社会、政治などで幅広く評論活動を行う。著書に『日本を蝕む極論の正体』(新潮新書)ほか多数。新刊に初の長編小説『愛国奴』(駒草出版)
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