雑学

俳優志望者に贈る、高橋一生にしか言えない重い言葉<鴻上尚史>

― 連載「ドン・キホーテのピアス」<文/鴻上尚史> ―

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谷川俊太郎さんと役者という仕事と売れない戯曲と


『ローリング・ソング』の東京公演に続き、九州・久留米での公演も終え、9/14からは大阪公演です。

 という間に、新刊が三冊出ました。

 一冊目は、『そんなとき隣に詩がいます~鴻上尚史が選ぶ谷川俊太郎の詩~』(大和書房)です。

 はい。おいらが谷川俊太郎さんの詩を選ばせてもらいました。谷川さんが70年以上書き続けた詩を全部読みました。三千以上、ありました。じつに幸福な時間でした。

 で、それを症例別に薬のように分類しました。

 もともと、『飛ぶ教室』などで有名なエーリヒ・ケストナーは、『人生処方詩集』という有名な詩集を出しています。自分の詩を、人生のさまざまな症例の治療別に分類したものです。

 で、谷川さんの詩でそれをやってみたくなりました。「さみしくてたまらなくなったら」「毎日、しかめっつらだけになったら」「愛されなかったら」こんな詩を読むといいんじゃないですか、と選んだのです。

 谷川さんは、三度結婚して、三度離婚しているのですが、ドロドロとした暗い詩は少ないです。それよりは、愛する素晴らしさとか、愛される楽しみとかのポジティブなものが多いです。本当にもててきたんだなあと思います。

 物事をネガティブに語らず、できるだけギリギリポジティブに語ろうとすることが、谷川さんの国民的人気の理由のひとつなんだろうなあと思いました。

 分類したあと、それぞれの症例に対するエッセーを書きました。僕は「さみしくてたまらなくなったら」どうするのか。そういう状態をどうやりすごすのか。

 もちろん、そんな時、谷川さんの詩を読むことを勧めているのですが、僕なりの処方箋も紹介しています。自分で言うのもなんですが、いい本です。谷川さんのファンにも楽しんでいただけると思います。

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読んでもらえたなら、買っていただけたなら

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この世界はあなたが思うよりはるかに広い

本連載をまとめた「ドン・キホーテのピアス」第17巻。鴻上による、この国のゆるやかな、でも確実な変化の記録





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