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大本萌景さんの自殺は氷山の一角!? 地方アイドルの悲惨な実情、当事者たちの証言続出

 “現役の地方アイドルが自殺した” というセンセーショナルなニュース。愛媛県松山市を活動拠点とする農業アイドル「愛の葉Girls」 のメンバーである大本萌景さん、享年16歳。彼女が若くして死という最悪の選択をしなければならなかったのはなぜなのか——。  大本さんの遺族は、所属事務所に対してパワハラがあったとして慰謝料など損害賠償を求めて松山地裁に提訴することを明らかにしている。大本さんがグループを脱退しようとした際には、事務所側から「(辞めるなら)1億円を支払え」などと恫喝とも受け取れるようなLINEが届いていたという。だが、事務所側は否定しており、大きく波紋が広がっている。

地方アイドルの悲惨な実情

 この事件をきっかけに、SNSでは多くの地下アイドルや地方アイドルたちのずさんな運営体制や悲惨な給料形態・契約形態についての告発が相次いだ。果たして、その実態とは?  現在、東京で女優として活動している元地方アイドルのAさん(20代)もグループを辞めるときに事務所から脅された経験がある1人だ。 「私は地元が結構な田舎なんですけど、アイドルっていうか部活動レベルなんですよね(笑)。公民館とか借りて自分たちで振り付けしてペラペラの衣装を着て……。嫌気がさして辞めたいと社長に言ったら、激怒されましたね。『まだ契約期間は終わってない』『衣装代返せ!』って。 あ、あと『AVに出す』なんてことも言われましたね。うるさいからほっときましたけど、ネットで契約書のことを調べたら全然効力ないことがわかったし。事務所を自分の意志で辞める際には退所金として100万の支払い義務があるとか、退所後3年は芸能活動禁止とか……意味わからないですよ」  Aさんは無事に地方の事務所を辞めることができたが、その後も嫌がらせは続いた。 「他にも掲示板に私がオタクとつながったからクビになったとか、中絶したからクビとか色々と書かれて。あとで仲良かったメンバーが教えてくれたんですが、社長の指示のもと書き込みさせられたみたいですね。私がいま所属している事務所も調べ上げて、あることないことをメールしてきたらしく、呆れましたよ(苦笑)」

アイドルになるのは簡単、辞めるのが難しい

 大本さんは月平均3万5000円程度の低賃金で長時間の労働を強いられ、罰金制度などもあったと報道されている。高校時代、地方でアイドルグループに所属していたBさん(23歳) が、地方アイドルたちの厳しい給与事情を説明する。 「私がアイドルをやっていた頃は、給料が貰えないのは当たり前でしたね。マックス月3000円ぐらいかなぁ。レッスン場を借りるお金も親たちが払ってたし、いつもチケットノルマがあって足りない部分も親が払っていたみたいです。友達や先輩・後輩にも他事務所の子がいて、話を聞いてたらどこも似たようなもの。給料1万貰った話なんて聞いたことないし、もはや仕事とは呼べないですよね」  身銭を切ってまでステージに立っている現実を目の当たりにしたBさん。表向きは“学業を優先したい”ことを理由に、「脱退したい」と運営に告げたという。しかし、「はい、そうですか」とはいかなかった。 「アイドルになるのはすごい簡単だったけど、辞めるのが難しいんですよね。もう揉めに揉めましたもん。大学受験を機に辞めようとしたんですが、『受験と両立できないわけがない』 から始まり、『おまえは人気がなくて運営費がマイナスになったからカネ返せ』って脅されました。私はグループの中でも2番人気くらいで動員も物販の売り上げもあったから不思議で……。そういったLINEがたくさんきてコワくなりました。迷惑かけたくなかったけど、両親に相談して、内容証明を送ってなんとか解決しました。今回自殺しちゃった子と同じなんですが、親には話しにくかったんですよね」  アイドルを辞めるときに、“親に相談しにくい”という子は意外と多いらしい。それは未成年の場合、芸能活動には親の同意が必要となり、活動にもともと反対されていたアイドルは「辞めるなんて言ったら親にも怒られるかもしれない」 と考えてしまうからだ。  また、親が過度に応援してくれている場合も「こんなに期待されているのに辞めるなんて言い出せない」と思ってしまうようだ。 鎖
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地方のアイドル事務所は見極めが難しい
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ライター兼底辺グラドルの二足のわらじ。著書に『最底辺グラドルの胸のうち』(イースト・プレス)、『現役底辺グラドルが暴露する グラビアアイドルのぶっちゃけ話』、『現役グラドルがカラダを張って体験してきました』(ともに彩図社)などがある。趣味は飲酒、箱根駅伝、少女漫画。X(旧Twitter):@sally_y0720

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