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東大卒の非エリート年収600万円 vs 高卒のエリート年収400万円、どっちが幸せ?



エリート高卒の幸福は「地域限定」の側面も


 この参照点の理論に基づくと、年収400万円であっても、高卒エリートは満足度が高くなる。

「飲み友達に高卒の人がいるんですが、高校の後輩と結婚して、すごく幸せそう。休日は趣味の釣りに出かけ、地元の仲間との飲み会写真が定期的にSNSにアップされる。それを見るたびに、どうして自分は東大まで出て……と惨めな思いになる。今は非表示に設定しています」(前出・田中さん)

 和田氏も「エリート高卒のほうが幸福度は高い」と判断を下すが、そこには条件があるという。

「エリート高卒の幸福度は、あくまでマイルド・ヤンキー的な地元の高卒コミュニティに限られたもの。そのコミュニティから一歩外に出れば、もっと年収が高く、学歴も高い人間がいくらでもいる。例えば、結婚相談所に行けば、非エリート東大卒のほうがモテる可能性が高いですし、商売を拡大して一段階上の階層に食い込もうとすれば、逆に劣等感に苛まれることになりかねません。高卒が幸せなのは、あくまで高卒の中だけ」

 年収400万円から年収アップを目指すなら、世界を広げる必要に迫られる。それは、エリート高卒にとって、むしろ幸福度を損なうリスクを孕んだ選択ともなる。

「しかも、今は昔に比べて学歴の挽回が利きづらい。大学の二部などは、実社会ではかなり割り引いて評価されますし、資格を取ろうにも法科大学院のように学士取得を前提とした制度に移行しつつある。ますます高卒コミュニティに閉じこもるしかありません」

 そう考えると、エリート高卒の幸福もかなり薄氷モノでは?

「一番手堅いのは年収600万円の駅弁大学卒あたりでしょうね。その地域ではエリートで年収もそこそこ満足できるので、あえて上を目指す必要もない。最も精神的に安定できるポジションです」

年収400万円のエリート高卒vs年収600万円の非エリート東大卒

東大合格時点の幸福度はかなり高いが、その後の就職で失敗すれば、東大卒の肩書はリスクに変わる

★結論……エリート高卒勝利。ただし年収400万円以上を目指してはいけない!

【精神科医・和田秀樹氏】
東京大学医学部卒。国際福祉大学大学院臨床心理学専攻教授。教育問題に造詣が深く、著書に『東大の大罪』(朝日新書)ほか多数

アンケート協力/エコンテ イラスト/ホセ・フランキー
― [年収400万円vs600万円]勝or負の境界線 ―

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