デジタル

任天堂は絶好調?それともピンチ?中間決算から見えた現状と課題

ジワジワと存在感を増しているスマホ部門

「スマートデバイス・IP関連収入等」の売上高は前年同期比4.7%増の187億円(前年度下半期は約214億円)。あまり伸びてはいませんが、下半期は9月27日に配信が始まった『ドラガリアロスト』の売上も加わってきます。『ドラガリアロスト』はアメリカでのApp Storeのユーザーレビューが4.8と高く、海外でも盛り上がりを見せています。

下半期には、新規RPG『ドラガリアロスト』の売上もスマホ部門に本格的に乗ってくる

 また、今年度中には『マリオカート』のスマホ版『マリオカート ツアー』の配信も予定されています。スマホゲーム各社がヒット作に恵まれず苦しむなか、任天堂はブランド力でジワジワと存在感を増していきそうです。

前年同期比91.3%!絶好調のソフト部門

 ソフトの販売本数は、前年同期比91.3%増の4213万本と絶好調。この期間のミリオンセラーは6本出ました。ただ、新規タイトルは『マリオテニス エース』(216万本)、『ドンキーコング トロピカルフリーズ』(167万本)の2本のみ。『マリオカート8 デラックス』『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』『スーパーマリオ オデッセイ』『スプラトゥーン2』が、定番タイトルとして売れ続けているという状況です。  サードパーティでは、6月配信開始の『フォートナイト バトルロイヤル』(基本無料)が「全世界のNintendo Switchのうち半数に迫る本体にダウンロードされる勢い」とのこと。  また、7月発売のスクウェア・エニックスのRPG『オクトパス トラベラー』は販売本数100万本を突破し、世界的に好調と決算説明会資料で言及されています。『オクトパス トラベラー』のような独自性ある新規タイトルが、サードパーティからどれだけ供給されるかが、今後のNintendo Switchのハード寿命を左右しそうです。  上半期の任天堂の決算は数字的には好調でしたが、Nintendo Switchの販売台数の伸び悩み、3DSの後継機問題、年末の『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』で人気シリーズが一旦出尽くしてしまうことなど、明るさのなかにも不安の種がちらほら……といった内容でした。
ゲーム雑誌・アニメ雑誌の編集を経て独立。ゲーム紹介やコラム、書評を中心にフリーで活動している。雑誌連載をまとめた著作『はじめてのファミコン~なつかしゲーム子ども実験室~』(マイクロマガジン社)はゲーム実況の先駆けという声も
1
2
おすすめ記事