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フェス・キャンプ場で窃盗被害が急増。その卑劣な手口とは?

ヘリノックス・サンセットチェア

ヘリノックス・サンセットチェアを畳むとこの大きさに。重さもわずか1.3kgと非常に軽いのが特徴だ

現役の窃盗犯が語るえげつない手口

 記者は30代のFという男性に話を聞くことができた。彼は実際にフェスやキャンプの現場で窃盗を繰り返し、転売で儲ける手口を話してくれた。アウトドア用品の多くは頑丈な作りで耐久性もある。さらに人気ブランドのギアになると、中古でもあまり値崩れすることなく定価の4~6割で売れることも珍しくないという。 「最近キャンプを始めたようなヤツのほうが、『ゆるキャン』とかの影響で持ってる道具は一流ブランドで揃えてる。おまけにまさか盗まれるなんて思ってないからね」  その手口は狡猾そのものだ。 「やっぱり音楽フェス系キャンプだね、狙うのは。ライブ会場でヘリノックスとかに座ってるヤツのグループの隣に座って話しかけて、仲良くする。ステージで盛り上がろうとして席を立ったらそのまま一緒に行く。それで戻って電話で『え? イス? イス持ってそっち行けばいいの?』なんて話すフリして、そのまま持っていっちゃう。さっきまで一緒に話してたから、周囲のヤツも仲間だと思ってくれたりするからね。ヘリノックスのチェアは畳めばリュックに入るから、まず、バレることはない」  キャンプサイトに戻ると、今度はスノーピークなどの人気ブランドを物色するという。 「缶ビール片手にちょっとフラフラしながら近づく。フェス中はみんな昼間から酒飲んでるから、誰か人がいたら『あれ~間違っちゃったよ~』って酔っ払ったフリすれば、怒られることもない」  こうして盗んだアウトドア用品をFはネット上で転売し、この夏だけで20万円近くの儲けを出したという。 「スノーピークは中古でも人気で、あらゆるものが売れる。中古のカトラリー(※ナイフやフォーク)が2000円とかで売れる世界。ヘリノックスは中古でも定価の7割くらいで売れる。こんなもん、カネが落ちてるようなもんでしょう。ただし、限定モデルとかは狙わないな。持ってる人が多いもののほうが目立たないから」  開き直ったFの態度に記者は思わず怒りを覚えた。自身もフェスやキャンプが好きというFに、良心の呵責はないのだろうか。 「スノーピークとかヘリノックスとか、確かにモノはイイよ。でも、高くて買う気が起きない。あんなもんありがたがってるヤツを見てると、腹が立つ。まぁ、自分の稼ぎじゃ買えないっていう腹いせもあるかも」  屈折したFの感情が盗みに駆り立てているのかもしれない。
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明らかに怪しい出品も目立つ
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