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クドカンの大河ドラマ『いだてん』はマラソン感覚で楽しむべき 視聴率を求めるのはナンセンス

いだてん

NHK大河ドラマ『~東京オリムピック噺~』公式サイト

クドカンドラマに視聴率を求めるのはナンセンス

 なお、冒頭でも触れたが、本作の低視聴率についての話題がたびたびネット上に挙がっているが、失礼ながらクドカンドラマはそもそも低空飛行がデフォルト(=基本、定番)。視聴率では計れない面白さと味わいが魅力なのだから、その観点で語るのはまったくもってナンセンスである。  彼の出世作である『池袋ウエストゲートパーク』(’00年)の平均視聴率は14.9%。映画化もされた『木更津キャッツアイ』(’02年)は平均視聴率10.1%。登場人物のイニシャルをたどる展開が斬新だった『マンハッタンラブストーリー』(’03年)に至っては平均視聴率7.2%だった。夏目漱石の魂が主婦に憑依する奇想天外な昼ドラ『吾輩は主婦である』(’06年)も、空前の大ブームを生んだ『あまちゃん』(’13年)も、その人気とは裏腹に視聴率はそれほど高くはなかったが、数年経った後でも人々の話題に上る、記憶に残るドラマばかりだ。
マラソン

長期的な視点でドラマを楽しもう(写真はイメージ)

 まさにマラソンのように1年間という長丁場で放送される大河ドラマ。スタートして2ヶ月しか経ってない時点で「てこ入れ」だの「戦犯」だの論じるのは、あまりにも早計すぎるし、全力でドラマづくりに携わっているキャストやスタッフに失礼だろう。もっとも、それだけ期待度が高かったことの反動とも言えなくもないが、だったらなおのこと長い目で見守るべきではないか。レースはまだ始まったばかり。きっと最後には感動的なゴールが待っているはずだ。<文・中村裕一>
株式会社ラーニャ代表取締役。ドラマや映画の執筆を行うライター。Twitter⇒@Yuichitter
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